「エンディングノートを書いてみたいけれど、何から手をつければいいのかわからない」という方は少なくありません。結論から言うと、エンディングノートは完璧に仕上げる必要はなく、基本情報など書きやすいところから少しずつ埋めていき、年に一度見直すくらいの気持ちで続けていくのが、無理なく書き上げるコツだと言われています。
この記事では、エンディングノートに書いておきたい項目を6つに分類して紹介したうえで、書き始める順番のおすすめや、途中で挫折しないための続け方のコツ、ノートの選び方までをまとめて解説します。
エンディングノートとは何か
エンディングノートとは、自分の財産状況・医療や介護に関する希望・葬儀やお墓の希望・家族へのメッセージなどを、自由な形式で書き残しておくノートのことです。市販のノートを使う人もいれば、ノートやパソコン、無料のテンプレートを使って自分なりにまとめる人もおり、決まった書式はありません。
大きな特徴は、遺言書のような法的な効力を持たない点です。遺言書は民法で定められた方式に従って作成しないと法的に無効になる可能性がありますが、エンディングノートにはそうした形式の縛りがなく、自由に書き足したり書き直したりできます。その一方で、財産の分け方などをエンディングノートに書いても、法的な拘束力は生じないと考えられています。
そのため、次のような役割分担で考えるとわかりやすいでしょう。
- 遺言書:財産の分け方など、法的な効力を持たせたい事項を残す
- エンディングノート:財産の在りか・医療や介護の希望・葬儀の希望・家族へのメッセージなど、法的効力は不要だが家族に伝えておきたい事項を残す
財産の分け方を確実に法的効力のある形で残したい場合や、相続でトラブルになりそうな事情がある場合は、エンディングノートとは別に、弁護士や行政書士、公証役場等に相談しながら遺言書の作成を検討することをおすすめします。
エンディングノートに書く項目6分類
エンディングノートに何を書けばよいか迷ったときは、次の6つのカテゴリーに分けて考えると整理しやすくなります。
1. 基本情報
氏名・生年月日・本籍地・血液型・マイナンバーの保管場所など、自分自身に関する基本的な情報です。緊急時に家族や医療機関が確認したい内容が中心になるため、まず埋めやすい項目といえます。
2. 財産・お金
預貯金口座(金融機関名・支店名など)、不動産、株式や投資信託などの金融資産、生命保険、負債(ローンなど)、年金の種類、貴金属や骨董品といった財産価値のあるものを書き出しておきます。細かい金額まで正確に書く必要はなく、「どこに何があるか」がわかる状態にしておくことが目的です。財産の全体像を整理したい場合は、相続税ざっくり計算機を使って、概算でどのくらいの規模になりそうかを一度確認しておくと、書き出す際の目安になります。
3. デジタル資産
スマートフォンやパソコンのパスコード、各種SNSのIDやパスワード、サブスクリプションサービスの契約状況、ネット銀行やネット証券の口座情報などです。近年増えている資産の分類ですが、書き忘れられやすい項目でもあります。パスコードがわからないままでは、スマホの中にある写真や連絡先、契約状況の確認すらできなくなってしまうため、家族が特に困りやすいポイントだと言われています。パスワードそのものを直接書くことに抵抗がある場合は、「どこに控えているか」の保管場所だけを書いておく方法もあります。
4. 医療・介護の希望
延命治療を望むかどうか、介護が必要になったときに自宅で過ごしたいか施設を希望するか、かかりつけ医や持病・服薬の情報などを書いておきます。こうした希望は、いざというときに家族が判断に迷いやすい部分であり、元気なうちに書き残しておくことで、家族の心理的な負担を軽くできると考えられています。
5. 葬儀・お墓の希望
葬儀の形式(家族葬・一般葬・直葬など)、参列してほしい人の範囲、宗教・宗派、お墓の希望(既存のお墓を使うか、墓じまいや改葬を検討しているかなど)を書いておきます。すでにお墓があり、墓じまいや改葬を検討している場合は、墓じまい費用シミュレーターで費用の目安を確認しておくと、希望を書く際の参考になります。
6. 家族へのメッセージ
これまでの感謝の気持ちや、家族に伝えておきたい思いを自由に書く欄です。財産や手続きに関する項目とは違い、正解のない自由記述の部分ですが、家族にとっては最も心に残る項目になりやすいとも言われています。
書き始める順番のおすすめ
6つの項目をすべて一度に埋めようとすると、途中で手が止まってしまいがちです。一般的には、次のような順番で進めると取り組みやすいとされています。
- 基本情報から書く:調べればすぐにわかる内容が多く、最初の達成感を得やすい
- 書きやすいものから埋める:財産・お金、デジタル資産など、リストアップするだけで進められる項目から着手する
- 家族と話しながら書く項目は後回しにする:医療・介護の希望や葬儀の希望は、家族との会話を経てから書くほうがまとまりやすいことが多い
- 家族へのメッセージは最後でよい:気持ちが乗ったタイミングで、時間をかけて書くのがおすすめ
自分がどの項目までできていて、どこが手つかずなのかを把握したい場合は、エンディングノート進捗チェッカーを使うと、財産・医療や介護の希望・葬儀の希望・デジタル資産といった項目ごとに準備状況を可視化できます。抜け漏れに気づきやすくなるため、これから書き始める方にも、途中まで書いて止まっている方にもおすすめです。
スマホ・パソコンの中身、そのままで大丈夫ですか?
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続けるコツ
エンディングノートは一度書いたら終わりではなく、状況の変化に合わせて書き直していくものです。長く続けるためのコツを3つ紹介します。
完璧を目指さない
すべての項目を一度に埋めようとすると、負担が大きくなり手が止まりやすくなります。空欄があってもよいので、まずは書けるところから少しずつ埋めていく姿勢のほうが、結果的に続けやすいとされています。
年1回程度、見直す時期を決めておく
財産の状況や健康状態、家族構成は年月とともに変化します。誕生日や年末年始など、見直すタイミングをあらかじめ決めておくと、内容を古いまま放置してしまうことを防ぎやすくなります。
家族に保管場所を伝えておく
どれだけ丁寧に書いても、いざというときに家族がノートの存在に気づけなければ意味がありません。ノートそのものの中身を見せる必要はありませんが、「エンディングノートを書いていること」と「どこに保管しているか」だけは、信頼できる家族に伝えておくとよいでしょう。
市販ノートと無料テンプレの選び方
エンディングノートには、大きく分けて「市販のノート」と「無料テンプレート」の2つの選び方があります。
- 市販のノート:項目があらかじめ整理されているため、何を書けばよいか迷いにくく、初めて取り組む方に向いています。書店や文具店、通販で購入できます。
- 無料テンプレート:自治体や各種サービスが配布しているものが多く、費用をかけずに始められます。項目を自分なりにカスタマイズしたい方に向いています。
どちらを選んでも構いませんが、共通して大切なのは「デジタル資産」の項目が含まれているかどうかです。従来型のノートの中には、デジタル資産の項目が用意されていないものもあるため、選ぶ際やカスタマイズする際に一つの目安にするとよいでしょう。
よくある質問(FAQ)
エンディングノートは手書きとパソコンのどちらで書くとよいですか?
どちらでも構わないとされています。手書きは特別な準備が不要で、家族が見つけたときにすぐ読める点が利点です。一方、パソコンやスマホのアプリ・テンプレートは修正や追記がしやすいため、内容を頻繁に見直したい方に向いています。デジタルで作成する場合は、家族がファイルの保存場所やパスワードにたどり着けるよう、保管場所を別途伝えておくことが大切だと言われています。
エンディングノートは何歳くらいから書き始めればよいですか?
書き始める年齢に決まりはなく、思い立ったときが始めどきだとされています。定年前後や還暦をきっかけに書き始める方が多い一方、近年は資産やSNS・サブスクなどのデジタル情報を整理する目的で、40〜50代から準備を始める方も増えていると言われています。体力や判断力があるうちのほうが落ち着いて書き進めやすいため、早めに着手しておくと安心です。
エンディングノートに書いてはいけないことはありますか?
法律上の禁止事項はありませんが、注意したい点はあります。まず、銀行の暗証番号やパスワードそのものを直接書き込むと、紛失・盗難時に悪用される恐れがあるため、保管場所だけを記す方法が安全とされています。また、財産の分け方など法的な効力を持たせたい内容は、エンディングノートに書いても拘束力が生じないため、遺言書として別途残すことが望ましいと考えられています。
エンディングノートを書けば遺言書は不要になりますか?
目的が異なるため、置き換えられるものではないとされています。エンディングノートは希望や情報を家族に伝えるためのもので、法的な効力はありません。相続や財産分与を法的に確実な形で残したい場合は、エンディングノートとは別に、弁護士・行政書士・公証役場等に相談しながら遺言書を作成することが望ましいと考えられています。
まとめ
エンディングノートは、遺言書とは異なり法的な効力を持たないものの、基本情報・財産・お金・デジタル資産・医療や介護の希望・葬儀やお墓の希望・家族へのメッセージという6つの分類で書き残しておくことで、家族にとって「本人の意思がわかる手がかり」になると考えられています。
書き始める際は、基本情報など書きやすいところから着手し、完璧を目指さず、年1回程度の見直しと家族への保管場所の共有を続けていくことが、無理なく書き進めるポイントです。まずはエンディングノート進捗チェッカーで、自分がどこまで準備できているかを確認するところから始めてみてください。終活全体の進め方に迷っている方は、終活は何から始める?最初にやるべき5つのことも参考にしてみてください。
なお、財産の分け方など法的な効力を持たせたい事項については、エンディングノートとは別に、弁護士・行政書士等の専門家に相談しながら遺言書の作成を検討することをおすすめします。
最終更新日:2026年7月9日
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