遺族年金とは?もらえる人・金額の目安と手続きをわかりやすく解説

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配偶者や親など、家計を支えていた方が亡くなったとき、残されたご家族の暮らしを支える公的な仕組みが「遺族年金」です。名前は知っていても、「自分はもらえるのか」「いくらくらいなのか」「どんな手続きが必要なのか」がよく分からない、という方も多いのではないでしょうか。この記事では、遺族年金の基本的な仕組みから、もらえる人・金額の目安・手続きの流れまでを、50代〜70代の方とそのご家族に向けてやさしく解説します。なお、金額はあくまで目安であり、実際の受給の可否や金額はお一人おひとりの状況によって異なります。正確な内容は、必ずお近くの年金事務所や日本年金機構にご確認ください。

遺族年金とは

遺族年金とは、公的年金に加入していた方や、年金を受け取っていた方が亡くなったとき、その方に生計を維持されていたご遺族に支給される年金です。残されたご家族が、経済的にできるだけ困らずに暮らしていけるよう支えることを目的としています。

現行制度では、遺族年金は大きく分けて「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。亡くなった方が自営業などで国民年金に加入していた場合は遺族基礎年金が、会社員や公務員など厚生年金に加入していた場合は、遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金が対象になることがあります。

遺族年金は、亡くなった方の職業や年金の加入状況によって受け取れる範囲が変わる点が特徴です。たとえば同じ「配偶者を亡くした」場合でも、亡くなった方が自営業だったか会社員だったかで、受け取れる年金の種類や金額が大きく変わってきます。ご自身やご家族がどの制度の対象になりそうかを、早めにイメージしておくと安心です。

どちらの年金をどれだけ受け取れるかは、亡くなった方が加入していた年金の種類や、残されたご家族の構成(お子さんの有無や年齢など)によって変わります。まずはこの2つの違いを押さえておくと、全体像がつかみやすくなります。

遺族基礎年金

遺族基礎年金は、国民年金の制度から支給される遺族年金です。対象となるのは、亡くなった方に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」とされています。ここでいう「子」には年齢の要件があり、18歳になった年度の3月31日まで(一定の障害がある場合は20歳未満)の子が対象です。

つまり、お子さんがすでに成人している場合や、お子さんがいないご夫婦の場合は、遺族基礎年金は支給されないのが原則です。「配偶者であればもらえる」と思われがちなところですので、注意しておきたいポイントです。

たとえば、40代の会社員のご主人が亡くなり、高校生と中学生のお子さんが2人いる場合、配偶者は遺族基礎年金の対象になります。一方、お子さんが全員独立して社会人になっている場合には遺族基礎年金は受け取れず、亡くなった方が厚生年金に加入していたかどうかで、受け取れる年金が変わってきます。

支給額の考え方は、「基本額」に「子の加算」を上乗せする形が基本です。現行制度では、基本額はおおよそ年間80万円台とされ、これに子どもの人数に応じた加算が加わります。加算額は第1子・第2子と第3子以降で金額が異なります。金額は改定されることがあり、あくまで目安ですので、最新の正確な額は日本年金機構や年金事務所にご確認ください。

遺族厚生年金

遺族厚生年金は、会社員や公務員など厚生年金に加入していた方が亡くなったときに支給される遺族年金です。遺族基礎年金と違い、お子さんがいない配偶者でも対象になり得るのが大きな特徴です。

対象となるご遺族には優先順位があります。現行制度では、(1)配偶者・子、(2)父母、(3)孫、(4)祖父母、の順とされ、先の順位の方がいる場合は後の順位の方は受け取れません。もっとも優先されるのは配偶者と子です。なお、夫が受け取る場合には年齢などの要件があるなど、条件が異なる部分もあります。

支給額は、亡くなった方の「老齢厚生年金の報酬比例部分」のおおむね4分の3が目安とされています。報酬比例部分は、現役時代の給与や厚生年金への加入期間によって決まるため、人によって大きく異なります。給与が高く加入期間が長かった方ほど、遺族厚生年金も多くなる傾向があります。

遺族厚生年金には、亡くなった時点での加入状況に応じた要件があります。在職中など厚生年金の加入中に亡くなった場合(短期要件)と、老齢厚生年金を受け取れる程度の加入期間があった方が亡くなった場合(長期要件)とで、扱いが少し異なるとされています。細かな判定は複雑ですので、ご自身のケースがどちらにあたるかは年金事務所で確認するのが確実です。

もらえる金額の目安

実際にどのくらいの金額になるのかは、家族構成や亡くなった方の働き方によって大きく変わります。ここでは、あくまでイメージをつかむためのモデルケースとして、おおよその目安を表にまとめました。

世帯の例受け取れる年金の種類年間の目安(概算)
自営業・子2人がいる配偶者遺族基礎年金約120万円前後
会社員・子1人がいる配偶者遺族基礎年金+遺族厚生年金約130〜180万円前後
会社員・子のいない配偶者遺族厚生年金のみ約40〜90万円前後
※金額はモデルケースに基づく目安です。実際の額は加入期間・収入・家族構成により異なります。

上記はあくまで概算のイメージであり、実際の金額は加入期間・収入・お子さんの人数や年齢などによって一人ひとり異なります。ご自身の場合の見込み額を知りたいときは、年金事務所の窓口や「ねんきんネット」で確認するのが確実です。

なお、遺族基礎年金は全国一律の定額(基本額+子の加算)で計算されるのに対し、遺族厚生年金は亡くなった方の報酬や加入期間によって決まるため、同じ「会社員の配偶者」でも金額に差が出ます。表の数字はあくまで目安として、ご自身の状況に近いケースを参考にしてください。

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中高齢寡婦加算など

遺族厚生年金には、一定の条件を満たす妻に対して支給額を上乗せする「中高齢寡婦加算(ちゅうこうねんかふかさん)」という仕組みがあります。これは、お子さんがいないなどの理由で遺族基礎年金を受け取れない妻や、お子さんが成長して遺族基礎年金が終わった妻の生活を支えるためのものです。

現行制度では、夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満で、遺族基礎年金を受け取れない妻などが対象とされ、一定額が65歳になるまで上乗せされます。65歳からはご自身の老齢基礎年金を受け取れるようになるため、この加算は終了するのが一般的です。

中高齢寡婦加算は名前のとおり「妻」を対象とした加算であり、夫が受け取る遺族厚生年金にはこの加算はない点にも注意が必要です。制度は世帯の状況に応じて細かく分かれていますので、加算の有無が分かりにくい場合は窓口で試算してもらうとよいでしょう。

遺族年金をもらえる条件・もらえないケース

遺族年金を受け取るには、いくつかの条件を満たしている必要があります。中心となるのが「生計維持関係」です。これは、亡くなった方によって生計を維持されていたことを意味し、原則として同居していた、または別居でも仕送りを受けていたなどの実態が求められます。

あわせて、遺族となる方自身の収入(または所得)にも目安があります。現行制度では、前年の収入がおおむね年850万円未満(または所得655万5千円未満)であることが要件とされています。共働きで一定の収入がある場合でも、この基準を下回っていれば対象になり得ます。

また、亡くなった方の年金の納付状況も条件になります。保険料の納付要件については、原則として亡くなった月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料の納付済期間と免除期間を合わせて3分の2以上あることが必要とされています。ただし、直近1年間に保険料の未納がなければよいとする特例もあります。判定が難しい部分ですので、納付状況に不安がある場合も、まずは相談してみてください。

一方で、いったん受け取っていても、もらえなくなる(失権する)ケースもあります。たとえば、受給していた方が再婚した場合や、子が年齢要件を超えた場合などです。こうした事情が生じたときは届け出が必要になります。

なお、夫が亡くなったときに30歳未満で子のない妻の場合、遺族厚生年金は5年間の有期給付になるなど、年齢によって受け取れる期間が変わる仕組みもあります。ご自身がどの扱いになるか分かりにくいときは、年齢や家族構成を伝えたうえで年金事務所に確認しておくと安心です。

手続きの流れと必要書類

遺族年金は、自動的に振り込まれるものではなく、ご遺族からの請求手続きが必要です。おおまかな流れは次のとおりです。

まず、お近くの年金事務所または年金相談センター(亡くなった方が国民年金のみの場合はお住まいの市区町村役場)に相談し、「年金請求書」を受け取って記入します。

必要書類としては、一般に次のようなものが求められます。

  • 年金請求書
  • 亡くなった方と請求する方の戸籍謄本
  • 世帯全員の住民票の写し、亡くなった方の住民票の除票
  • 請求する方の収入が確認できる書類
  • 死亡診断書(死体検案書)のコピーなど
  • 年金の受け取り先となる預金通帳

請求手続きは、必要書類をそろえて年金事務所などの窓口に提出します。書類に不備がなければ、審査を経て、後日「年金証書」や決定通知が届き、その後に指定した口座へ振り込みが始まります。手続きから実際の入金までには一定の期間がかかるのが一般的です。ケースによって必要書類は異なりますので、事前に電話などで確認しておくと手続きがスムーズです。

なお、遺族年金には時効があり、受け取る権利は原則として5年で消滅するとされています。「手続きが大変そう」と後回しにしているうちに時効を迎えてしまわないよう、早めの相談をおすすめします。

遺族年金と自分の老齢年金の関係

ご自身も老齢年金を受け取る年齢になると、「遺族年金と自分の年金は両方もらえるの?」という疑問が出てきます。現行制度では、65歳以降は一定のルールに基づいて調整(併給調整)される仕組みになっています。

たとえば、ご自身の老齢厚生年金と遺族厚生年金の両方を受け取れる場合、どちらか有利な方を基準に金額が調整され、単純に両方の全額を足した金額を受け取れるわけではないのが一般的です。一方で、老齢基礎年金はご自身の年金として受け取れます。

また、65歳になるまでの間は、原則としてご自身の老齢年金と遺族年金のどちらか一方を選んで受け取る形になる場合があります。どちらを選ぶと有利かはケースによって異なりますので、選択の前に見込み額を比べておくと安心です。

このあたりの調整はやや複雑で、ご本人の年金加入状況によって結果が変わります。「思っていた金額と違った」ということを避けるためにも、65歳を迎える前後で一度、年金事務所に見込み額を確認しておくと安心です。

よくある質問

ここでは、遺族年金についてよく寄せられる疑問をまとめました。

Q. 共働きでしたが、遺族年金はもらえますか?
A. 共働きであっても、亡くなった方に生計を維持されていた関係があり、ご自身の収入が前年で年850万円未満などの要件を満たしていれば、対象になり得るとされています。収入があるだけで一律に対象外になるわけではありません。

Q. 子どもがいないと遺族年金はもらえないのですか?
A. 遺族基礎年金は「子のある配偶者・子」が対象のため、お子さんがいない場合は原則として対象外です。ただし、亡くなった方が会社員などで厚生年金に加入していた場合は、遺族厚生年金の対象になり得ます。

Q. 内縁関係(事実婚)でも遺族年金はもらえますか?
A. 婚姻届を出していない事実婚であっても、生計を同じくしていた実態が認められれば、配偶者として対象になり得るとされています。ただし関係を示す書類などの確認が必要になるため、詳しくは年金事務所にご確認ください。

Q. 遺族年金はいつまでもらえますか?
A. 遺族基礎年金は、お子さんが18歳になった年度末(一定の障害がある場合は20歳)を迎えると終了するのが原則です。遺族厚生年金は、要件を満たす配偶者であれば原則として生涯にわたり受け取れますが、再婚などで失権する場合があります。

Q. 再婚したら遺族年金はどうなりますか?
A. 受給していた方が再婚すると、遺族年金を受け取る権利は原則として失われます(失権)。この場合は届け出が必要になります。

Q. 遺族年金に税金はかかりますか?
A. 遺族年金は、所得税・住民税ともに非課税とされています。確定申告の際も、原則として所得には含めません。

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まとめ

遺族年金は、家計を支えていた方が亡くなったときに、残されたご家族の暮らしを支える大切な仕組みです。現行制度では「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があり、お子さんの有無や亡くなった方の働き方によって、受け取れる種類や金額が変わります。

金額はあくまで目安であり、ご自身のケースでいくら受け取れるかは、加入期間や収入、家族構成によって一人ひとり異なります。また、受け取るには請求手続きが必要で、5年の時効にも注意が必要です。

不安な点や分からないことがあれば、一人で抱え込まず、お近くの年金事務所や日本年金機構に早めに相談してみてください。正確な情報をもとに、落ち着いて手続きを進めていきましょう。

本記事の金額や条件は、あくまで一般的な目安をまとめたものです。制度は改定されることがあり、実際の取り扱いは個々の状況によって異なります。ご自身のケースの正確な受給額や要件については、日本年金機構・お近くの年金事務所に必ずご確認ください。

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