贈与税の申告と税率|かかる人・計算方法・非課税のポイントをわかりやすく解説

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「贈与税」と聞くと、なんだか難しそう、自分には関係がないと感じる方も少なくありません。しかし、お子さんやお孫さんへの生前贈与、住宅取得の援助、教育資金の手助けなど、贈与税は意外と身近なところでかかわってきます。「いくらまでなら税金がかからないの?」「申告は必要なの?」といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。この記事では、贈与税がかかる人・かからない人、税率や計算方法、そして非課税で贈与するためのポイントを、50代〜70代の方とそのご家族に向けてやさしく整理しました。現行制度にもとづく一般的な目安としてお読みいただき、具体的な税額や手続きについては税理士・税務署にご確認ください。

贈与税とは

贈与税は、個人から財産をもらったときに、もらった人(受贈者)にかかる税金です。ここでいう財産とは、現金や預貯金だけではありません。土地や建物などの不動産、株式や投資信託といった有価証券、貴金属や自動車など、金銭に見積もることができるものは幅広く対象になります。

贈与税には、1年間(毎年1月1日から12月31日まで)にもらった財産の合計額から差し引くことができる「基礎控除」があります。現行制度では、その額は年間110万円です。つまり、1年間にもらった財産が110万円以下であれば贈与税はかからず、110万円を超えた部分に対して税金が計算される仕組みです。

なお、贈与税は相続税を補う役割を持つ税金とされています。生前に財産を少しずつ渡して相続税を軽くしようとする動きに対して、贈与の段階で税金をかけることでバランスをとっている、と考えるとわかりやすいでしょう。そのため、贈与税の税率は相続税よりも高めに設定されています。

贈与税がかかる人・かからない人

贈与税は「財産をもらった人」が納める税金です。したがって、財産をあげた人(贈与者)ではなく、受け取った側が申告と納税を行います。ここでは、贈与税がかかる人とかからない人の目安を整理します。

贈与税がかかる人の代表的な例は次のとおりです。

  • 1年間にもらった財産の合計が110万円を超えた人
  • 親や祖父母から住宅資金や現金の贈与を受け、基礎控除を超えた人
  • 時価より著しく安い価格で財産を譲り受けた人(差額が贈与とみなされる場合)

一方で、贈与税がかからない、または対象外となる主な例は次のとおりです。

  • 1年間にもらった財産が110万円以下の人
  • 夫婦や親子、兄弟姉妹など扶養義務者から受け取る生活費や教育費で、通常必要と認められるもの
  • 法人からもらった財産(この場合は所得税の対象になります)
  • 香典や祝い金、お見舞いなどで社会通念上ふさわしい金額のもの

たとえば、親御さんが離れて暮らすお子さんへ毎月の生活費や学費を渡す場合、その都度必要な範囲であれば原則として贈与税はかかりません。ただし、生活費として渡したお金を使わずに預金したり、株式や不動産の購入にあてたりした場合は、贈与とみなされることがある点に注意が必要です。判断に迷うときは税務署に確認すると安心です。

贈与税の計算方法

贈与税の計算は、次の手順で行います。まず、その年の1月1日から12月31日までにもらった財産の合計額(課税価格)を求めます。次に、その課税価格から基礎控除110万円を差し引きます。最後に、残った金額に税率をかけ、控除額を差し引いて税額を求めます。

式で表すと「(課税価格 − 110万円)× 税率 − 控除額 = 贈与税額」となります。

ここで大切なのが、贈与税には「一般贈与財産」と「特例贈与財産」の2つの区分があり、それぞれ税率が異なるという点です。特例贈与財産とは、親や祖父母などの直系尊属から、その年の1月1日時点で18歳以上の子や孫が受け取った財産をいいます。これに当てはまらない贈与(兄弟間、夫婦間、親から18歳未満の子への贈与など)は一般贈与財産となります。

特例贈与財産は、一般贈与財産よりも税率がやや低く設定されており、負担が軽くなるよう配慮されています。どちらの区分にあたるかで税額が変わるため、まずはご自身のケースがどちらに該当するかを確認しましょう。

贈与税の速算表

下記は、基礎控除後の課税価格に応じた税率と控除額の速算表です。現行制度にもとづく目安としてご覧ください。まずは一般贈与財産(一般税率)です。

基礎控除後の課税価格一般税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

次に、直系尊属から18歳以上の子・孫への贈与に使う特例贈与財産(特例税率)です。

基礎控除後の課税価格特例税率控除額
200万円以下10%
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

表の見方は、基礎控除後の金額が入る区分の税率をかけ、そこから控除額を差し引くというものです。区分の境目の金額では税率が変わるため、計算のときは金額がどの区分に入るかをていねいに確認してください。

計算例でわかる贈与税

言葉だけではイメージしにくいので、具体的な数字で見てみましょう。ここでは、親御さんが18歳以上のお子さんへ、1年間に500万円を贈与したケースを例にします。直系尊属から18歳以上の子への贈与なので、特例贈与財産(特例税率)を使います。

まず、課税価格500万円から基礎控除110万円を差し引くと、390万円になります。390万円は特例税率の「400万円以下」の区分にあたり、税率は15%、控除額は10万円です。

計算すると、390万円 × 15% − 10万円 = 48万5,000円となります。つまり、500万円の贈与に対して、およそ48万5,000円の贈与税がかかる計算です。

同じ500万円でも、たとえば兄弟間の贈与など一般贈与財産にあたる場合は、390万円が一般税率の「400万円以下」の区分(税率20%、控除額25万円)となり、390万円 × 20% − 25万円 = 53万円となります。このように、同じ金額でも区分によって税額が変わります。あくまで概算の目安ですので、正確な税額は税理士・税務署にご確認ください。

非課税になる主な特例

贈与税には、一定の条件を満たすと非課税になったり、負担を軽くできたりする特例がいくつか用意されています。代表的なものを整理します。

  • 暦年課税の基礎控除(年110万円):毎年110万円までの贈与は非課税です。計画的に活用する方法は生前贈与のやり方でも解説しています。
  • 相続時精算課税制度:60歳以上の親・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与で選択できる制度です。累計2,500万円までの特別控除があり、現行制度では年110万円の基礎控除も設けられています。
  • 住宅取得等資金の贈与:マイホームの購入や新築、増改築の資金を親・祖父母から受け取る場合、一定額まで非課税になる特例です。
  • 教育資金の一括贈与:金融機関を通じて教育資金を一括で贈与する場合、一定額まで非課税になる特例です。
  • 結婚・子育て資金の一括贈与:結婚や出産、子育てにかかる資金を一括で贈与する場合の非課税特例です。
  • 贈与税の配偶者控除(おしどり贈与):婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用不動産やその購入資金を贈与する場合、基礎控除とは別に最高2,000万円まで控除できる特例です。

これらの特例は、それぞれ適用の条件や期限、必要な手続きが細かく定められています。また、非課税であっても申告が必要なものが多くあります。具体的な進め方は生前贈与シミュレーターでおおよその見通しを立てたうえで、税理士・税務署にご確認いただくと安心です。

贈与税の申告と納付

贈与税の申告は、財産をもらった年の翌年に行います。現行制度では、申告期間は原則として翌年の2月1日から3月15日までです。所得税の確定申告とほぼ同じ時期ですが、贈与税は開始日が2月1日である点に注意しましょう。

申告先は、財産をもらった人(受贈者)の住所地を管轄する税務署です。申告書は税務署の窓口で受け取るほか、国税庁のホームページで作成することもできます。近年は、パソコンやスマートフォンから電子申告(e-Tax)で提出する方も増えています。

納付方法は、税務署や金融機関の窓口での現金納付のほか、口座振替、クレジットカード納付、スマートフォンアプリ納付、e-Taxを使った電子納税など複数の方法があります。納付の期限も申告期限と同じく3月15日までです。期限を過ぎると加算税や延滞税がかかることがあるため、早めの準備を心がけましょう。

申告が必要なケース・不要なケース

どんなときに申告が必要になるのか、迷いやすいところを整理します。まず、申告が必要になる主なケースは次のとおりです。

  • 1年間にもらった財産の合計が110万円を超えたとき
  • 相続時精算課税制度を選ぶとき(贈与額にかかわらず届出と申告が必要)
  • 住宅取得等資金、教育資金、結婚・子育て資金、配偶者控除(おしどり贈与)などの特例を使うとき(税額が0円でも申告が必要な場合があります)

一方、申告が不要となる主なケースは次のとおりです。

  • 1年間にもらった財産が110万円以下のとき(暦年課税で特例を使わない場合)
  • 扶養義務者から受け取る、通常必要な生活費や教育費のみのとき

ここで見落としやすいのが、「税額が0円でも申告が必要な特例がある」という点です。非課税だから何もしなくてよい、と考えていると、後から特例が使えないと指摘されることもあります。特例を使う予定がある場合は、申告の要否を必ず確認しておきましょう。

申告しないとどうなる

申告が必要なのに申告をしなかった場合、いくつかのペナルティが生じることがあります。現行制度では、期限内に申告しなかったときにかかる「無申告加算税」や、納付が遅れたときにかかる「延滞税」などが代表的です。本来納めるべき税額に上乗せして支払うことになるため、負担が重くなってしまいます。

また、贈与税の申告漏れは、将来の相続の場面で問題になることもあります。たとえば、親名義から子名義に移したつもりの預金でも、実際には親が管理していた場合、名義預金として相続財産に含められ、相続税の対象とされることがあります。名義預金の考え方については、その記事でくわしく解説しています。

贈与は「あげた」「もらった」というお互いの認識と、実際のお金の管理がそろっていることが大切です。あとから指摘を受けないためにも、贈与契約書を残す、受け取った側が口座を管理するといった形を整えておくと安心です。判断に迷うときは、早めに税理士・税務署へ相談しましょう。

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よくある質問

Q1. 贈与税はいくらから申告が必要ですか?

現行制度では、暦年課税の場合、1年間にもらった財産の合計が110万円を超えると申告が必要です。110万円以下であれば、原則として申告も納税も不要です。ただし、相続時精算課税や各種の非課税特例を使う場合は、110万円以下や税額0円でも申告が必要になることがあります。

Q2. 親子や祖父母と孫の間でも贈与税はかかりますか?

かかります。親子や祖父母・孫の間であっても、1年間にもらった財産が110万円を超えれば贈与税の対象です。ただし、直系尊属から18歳以上の子・孫への贈与は、税率が低めの特例贈与財産となります。また、通常必要な生活費や教育費をその都度渡す場合は、原則として対象外です。

Q3. 少額の贈与なら申告しなくてもわからないのでは?

贈与そのものは当事者間のやり取りですが、不動産の登記、まとまった預金の移動、相続が発生したときの税務調査などをきっかけに把握されることがあります。とくに相続時には、過去の贈与がさかのぼって確認されることもあります。「わからないだろう」と考えず、必要なときはきちんと申告することをおすすめします。

Q4. 暦年課税と相続時精算課税はどちらが得ですか?

どちらが有利かは、贈与する金額や回数、将来の相続財産の見込み、ご家族の状況によって変わります。現行制度では相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が設けられ、選びやすくなりましたが、いったん選ぶと暦年課税に戻せないなどの注意点もあります。ご自身のケースでの有利・不利は、税理士・税務署にご確認ください。

Q5. 申告や納付が期限に間に合わないときは?

期限を過ぎると無申告加算税や延滞税がかかることがあります。間に合わないことがわかった時点で、できるだけ早く税務署に相談しましょう。事情によっては対応方法を案内してもらえます。まずは放置しないことが大切です。

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まとめ

贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金で、年110万円の基礎控除を超えた部分に課税されます。税率には一般贈与財産と特例贈与財産の2区分があり、直系尊属から18歳以上の子・孫への贈与は、負担が軽くなる特例税率が使えます。また、住宅取得等資金や教育資金、おしどり贈与など、条件を満たせば非課税になる特例も用意されています。

申告と納付の期限は、原則として翌年の2月1日から3月15日まで。110万円を超える贈与や特例を使う場合は、期限内の申告を忘れないようにしましょう。相続との関係では、相続税の基礎控除の仕組みもあわせて理解しておくと、生前贈与の計画を立てやすくなります。この記事が、ご家族での話し合いのきっかけになれば幸いです。

※本記事は現行制度にもとづく一般的な情報の提供を目的としたものであり、個別の税額や手続きを保証するものではありません。税制は改正されることがあり、適用の可否や金額はお一人おひとりの状況によって異なります。実際の申告・納税にあたっては、必ず最新の情報を確認のうえ、税理士や最寄りの税務署にご相談ください。