カテゴリー: エンディングノート・終活準備

エンディングノートの書き方や終活の始め方など、終活の準備を無理なく進めるためのチェックリストと記事です。

  • 認知症に備える財産管理|成年後見制度・家族信託・任意後見の違いを解説

    認知症に備える財産管理|成年後見制度・家族信託・任意後見の違いを解説

    「親が認知症になり、銀行の口座からお金を引き出せなくなってしまった」——近年、こうした「資産凍結」に関するご相談が増えています。判断能力が低下すると、本人名義の預貯金の引き出しや不動産の売却、相続対策などが原則としてできなくなるとされています。

    高齢化が進むなかで、認知症は誰にとっても身近なテーマになりつつあります。判断能力があるうちにできる備えを知っておくことは、ご本人にとっても、支えるご家族にとっても大きな安心につながります。

    こうした事態に備える方法として、現行制度では成年後見制度(法定後見・任意後見)や家族信託があります。この記事では、認知症に備える3つの財産管理の方法について、それぞれの特徴や費用の目安、選び方をやさしく解説します。

    認知症による資産凍結は、一度起きてしまうと解決に時間と手間がかかります。だからこそ、制度の違いを正しく理解し、ご自身やご家族に合った備えを早めに考えておくことが安心につながります。本記事が、その第一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

    認知症になると財産はどうなる?

    判断能力が低下すると、本人の財産を守るために、法律上さまざまな制限がかかります。具体的には、次のようなことが難しくなるとされています。

    • 預貯金の引き出しや定期預金の解約
    • 不動産の売却・賃貸借契約
    • 生前贈与や生命保険の契約などの相続対策
    • 施設への入居契約や大きな支出の判断

    たとえば、施設への入居費用を用意するために親名義の自宅を売却しようとしても、売買契約には本人の意思確認が必要です。判断能力が低下しているとこの契約自体ができず、家族が代わりに手続きを進めることも原則としてできません。同じように、定期預金の解約や高額な医療費の支払いなど、いざというときにお金を動かせない事態が起こり得ます。

    金融機関は、本人の判断能力の低下を知ると、本人を保護するために口座を事実上凍結することがあります。家族であっても、本人に代わって自由に引き出すことはできません。これがいわゆる「資産凍結」の問題です。

    金融機関が口座を凍結するのは、判断能力が十分でない本人が不利益を被ったり、家族間のトラブルに巻き込まれたりするのを防ぐためです。本人を守るための仕組みですが、結果として必要な支払いに困ることもあり、元気なうちからの事前の対策が大切とされています。

    資産凍結が起きると、介護や生活にかかるお金をご家族が一時的に立て替えることになり、家計や人間関係に負担がかかることもあります。こうした負担を避けるためにも、判断能力があるうちに、ご家族で方針を共有しておくことが役立ちます。

    認知症に備える3つの方法

    認知症による資産凍結に備える主な方法は、次の3つです。

    • 法定後見制度:判断能力が低下した後に、家庭裁判所が後見人などを選任する制度
    • 任意後見制度:元気なうちに、将来の後見人を自分で契約して決めておく制度
    • 家族信託(民事信託):元気なうちに、信頼できる家族に財産の管理を託しておく仕組み

    大きく分けると、法定後見は「判断能力が低下した後の対応策」、任意後見と家族信託は「元気なうちにできる事前の備え」という位置づけです。どれか一つが絶対に優れているというものではなく、目的や状況に応じて選ぶことが大切とされています。

    まずは、それぞれの概要を比較表で確認してみましょう。

    制度開始できる時期主な特徴
    法定後見判断能力が低下した後家庭裁判所が後見人を選任。財産の保全に重点
    任意後見元気なうち(発効は低下後)契約で後見人を指定。監督人がつく
    家族信託元気なうち家族に管理を託す。柔軟な運用・承継指定が可能

    以下で、それぞれの制度をくわしく見ていきます。

    法定後見制度

    法定後見制度は、すでに判断能力が低下した方を支えるための制度です。家庭裁判所に申立てを行い、選ばれた成年後見人などが、本人に代わって財産管理や契約(法律行為)を行います。判断能力の程度に応じて、次の3つの類型に分かれています。

    • 後見:判断能力がほとんどない方が対象
    • 保佐:判断能力が著しく不十分な方が対象
    • 補助:判断能力が不十分な方が対象

    3つの類型では、後見人などに与えられる権限の範囲が異なります。後見では広く代理権が認められる一方、保佐・補助では、本人ができる行為を尊重しつつ、必要な範囲に支援がとどめられます。本人の状態に応じて、適切な支援の形が選ばれる仕組みです。

    法定後見を利用するには、本人の住所地を管轄する家庭裁判所へ、本人・配偶者・四親等内の親族などが申立てを行います。医師の診断書などをもとに家庭裁判所が本人の状態を確認し、後見人などを選任します。後見人には家族が選ばれることもありますが、近年は司法書士・弁護士などの専門職が選ばれるケースも多くなっているとされています。

    メリットとしては、本人の財産を法的にしっかり守れること、すでに判断能力が低下していても利用できることが挙げられます。

    一方でデメリットとしては、家庭裁判所の関与があるため財産の柔軟な運用や生前贈与などの相続対策は原則としてできないこと、専門職が後見人になると継続的な報酬(ランニングコスト)が発生すること、原則として本人が亡くなるまで続くため途中でやめにくいことが挙げられます。

    費用の目安としては、申立ての実費や手続き費用のほか、専門職が後見人・監督人になる場合は月額2万円〜6万円程度の報酬がかかることが多いとされています(財産額などによって変わります)。

    任意後見制度

    任意後見制度は、本人が元気で判断能力があるうちに、「将来、判断能力が低下したら、この人に後見人になってもらう」とあらかじめ契約で決めておく制度です。この契約は、公証役場で公正証書として作成します。

    実際に判断能力が低下したときには、家庭裁判所に申立てを行い、任意後見監督人が選任されて初めて効力が発生します(発効)。監督人は、任意後見人がきちんと職務を果たしているかをチェックする役割を担います。任意後見監督人が選任されるまでは契約の効力が生じないため、家族も制度の流れを理解しておくと、いざというときにあわてずにすみます。

    任意後見には、契約後すぐに一部の財産管理を任せる「移行型」、判断能力が低下してから発効させる「将来型」などのタイプがあり、本人の希望に合わせて設計できるとされています。元気なうちから日常的な支援を受けたい場合と、あくまで将来に備えたい場合とで、使い分けを考えるとよいでしょう。

    メリットは、自分が信頼する人を後見人に選べること、どのような支援をしてほしいかを契約であらかじめ決められることです。デメリットとしては、発効後は監督人への報酬が発生すること、家族信託ほど自由な財産運用まではできないことが挙げられます。公正証書の作成費用など、契約時に数万円程度の費用がかかるのが一般的とされています。

    家族信託(民事信託)

    家族信託は、元気なうちに、信頼できる家族に自分の財産の管理・運用・処分を託しておく仕組みです。次の3者で構成されます。

    • 委託者:財産を託す人(親などの本人)
    • 受託者:財産を託されて管理する人(子など)
    • 受益者:財産から生じる利益を受け取る人(多くは本人=親)

    たとえば親を委託者・受益者、子を受託者とすれば、親のために子が財産を管理でき、認知症になっても資産凍結を避けやすくなるとされています。

    より具体的には、賃貸アパートを持つ親が委託者兼受益者、管理を担う子を受託者とする信託を結んでおけば、親が認知症になった後も、子が契約に基づいて修繕や賃貸借契約、必要に応じた売却などを進められます。家賃収入は受益者である親のために使われます。ただし、税務上の取り扱いには注意が必要な場面もあるため、税理士など専門家への確認が欠かせません。

    メリットは、判断能力が低下しても受託者が財産を管理・運用できること、「自分の次は配偶者、その次は子へ」といった承継先を指定できること(後見制度にはない特徴)、不動産の管理・売却なども契約で柔軟に定められることです。

    デメリットとしては、身上監護(介護・医療の契約など)は基本的に対象外であること、契約設計が複雑で専門家のサポートが必要になることが挙げられます。初期費用の目安は、財産額や信託の内容によりますが、専門家への報酬や公正証書の作成費用などを含めて数十万円程度からとされています。

    どれを選ぶ?ケース別の考え方

    どの方法が適しているかは、本人の状態や目的によって変わります。あくまで一般的な目安として、次のように考えられます。

    • すでに判断能力が低下している場合:選べるのは法定後見制度が中心となります。
    • 元気で、財産の保全を重視したい場合:任意後見制度が候補になります。
    • 元気で、不動産の活用や柔軟な資産運用・承継まで考えたい場合:家族信託が候補になります。
    • 身上監護(介護・医療の手続き)も任せたい場合:後見制度が向いています。

    また、財産の額や種類、家族の関係性によっても、向いている方法は変わります。不動産が多い方は家族信託の柔軟さが活きやすく、預貯金が中心で確実な保全を望む方は後見制度が合うこともあります。家族信託と任意後見を組み合わせて利用するケースもあります。

    最終的な判断は、財産の状況やご家族の事情によって異なり、断定はできません。複数の方法を比較し、司法書士・弁護士などの専門家に相談しながら決めることをおすすめします。

    手続きと費用の目安

    各制度のおおまかな費用感を表にまとめました。金額はあくまで目安で、財産額や地域、依頼する専門家によって変わります。

    制度開始時期初期費用の目安ランニングコスト
    法定後見判断能力の低下後申立て費用など数万円〜専門職の場合 月2万〜6万円程度
    任意後見元気なうちに契約公正証書作成など数万円〜発効後、監督人報酬 月1万〜3万円程度
    家族信託元気なうちに契約数十万円程度〜原則なし(受託者が家族の場合)

    後見制度でかかる報酬は、原則として本人の財産から支払われます。家族信託の初期費用は、契約時にまとまった負担が生じますが、その後のランニングコストは抑えやすい傾向があります。目先の金額だけでなく、長い目で見た総額で比較することも大切です。

    ※上記は一般的な目安です。詳細は専門家にご確認ください。

    早めの準備が大切な理由

    任意後見や家族信託は、いずれも「本人に判断能力があるうち」でなければ契約できません。認知症が進んでしまってからでは、選べる方法は法定後見に限られてしまいます。

    つまり、元気なうちに準備しておくかどうかで、将来の選択肢が大きく変わるということです。「まだ元気だから大丈夫」と考えているうちに、機会を逃してしまうこともあります。早めにご家族で話し合い、必要に応じて専門家に相談しておくと安心です。エンディングノートの書き方を参考に、本人の希望を書き留めておくのも、家族が判断する際の助けになります。

    また、準備は一度きりで終わるものではありません。家族構成や財産の状況、本人の希望は時間とともに変わっていきます。定期的に見直し、必要に応じて内容を更新していくことで、いざというときに実情に合った備えとして機能します。

    よくある質問

    認知症になってからでも対策できますか?

    判断能力が低下した後は、任意後見や家族信託の契約は原則としてできません。利用できるのは法定後見制度が中心となります。そのため、対策は判断能力があるうちに行うことが大切とされています。

    費用はどのくらいかかりますか?

    制度によって異なります。法定後見や任意後見では専門職への報酬が継続的にかかる場合があり、家族信託は初期費用がまとまってかかる傾向があります。いずれも財産額などによって変わるため、あくまで目安として考え、具体的には専門家にご確認ください。

    後見人は家族がなれますか?

    家族が後見人になることも可能ですが、家庭裁判所が総合的に判断して選任します。財産が多い場合や、親族間で意見が対立している場合などは、専門職が選ばれたり、専門職が監督人としてつくこともあるとされています。

    家族信託と後見制度は併用できますか?

    併用や使い分けは可能とされています。たとえば、財産管理は家族信託で、介護・医療などの身上監護は任意後見で対応する、といった組み合わせが考えられます。設計が複雑になるため、専門家への相談をおすすめします。

    誰に相談すればよいですか?

    家族信託や任意後見の契約、法定後見の申立てなどは、司法書士・弁護士などの専門家が対応しています。金融機関や自治体の相談窓口、地域包括支援センターなどで情報を得られることもあります。まずは終活は何から始めればよいかを確認し、全体像をつかんでおくとよいでしょう。

    生前贈与などの相続対策はできますか?

    法定後見では、本人の財産の保全が優先されるため、生前贈与などの相続対策は原則としてできないとされています。柔軟な資産の承継を考えたい場合は、家族信託などが選択肢になります。贈与を検討する際は生前贈与シミュレーターもあわせて活用しつつ、具体的な相続対策は税理士・専門家にご相談ください。

    終活の準備を相談したいとき

    (PR)終活は何から手をつけるか迷いがちです。デジタル終活を含め、終活の準備を相談できるサービスもあります。

    PR

    スマホ・パソコンの中身、そのままで大丈夫ですか?

    写真・連絡先・ネット口座・サブスク…デジタルなデータの終活は、もしものとき家族が一番困るポイントです。デジタル終活サービス「デジ・タクセル」なら、情報の整理から安全な引き継ぎまで無料で相談できます。

    デジタル終活を無料で相談してみる(デジ・タクセル)

    ※本サービスは当サイトの提携先が提供します。相談は無料です。

    まとめ

    認知症による資産凍結に備える方法には、法定後見制度・任意後見制度・家族信託の3つがあります。

    • 法定後見:判断能力が低下した後でも使えるが、柔軟性は低い
    • 任意後見:元気なうちに信頼できる人を選んでおける
    • 家族信託:柔軟な財産管理と承継指定ができる

    任意後見と家族信託は、元気なうちにしか選べない点が大切なポイントです。それぞれにメリット・デメリットがあり、どれが最適かはご本人やご家族の状況によって異なります。まずはご家族で話し合い、司法書士・弁護士などの専門家に相談しながら、早めに備えておくと安心です。

    ※本記事は現行制度の一般的な情報をまとめたものであり、個別の法務・税務上の判断を保証するものではありません。制度の詳細や手続き、費用は変わることがあります。実際のお手続きにあたっては、司法書士・弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。

  • 死後の手続きチェックリスト|遺族がやることを期限順にまとめて解説

    死後の手続きチェックリスト|遺族がやることを期限順にまとめて解説

    家族が亡くなったあと、遺族には葬儀の手配だけでなく、数多くの届出や手続きが待っています。死亡届の提出から年金の受給停止、健康保険や公共料金の名義変更、銀行口座の手続きまで、その数は数十種類にのぼることも珍しくありません。しかも、なかには期限が決まっているものもあり、悲しみのなかであわてて対応することになりがちです。

    この記事では、遺族がやるべき手続きを「期限順のチェックリスト」としてまとめ、年金・保険・公共料金・銀行・カード・遺品など、生活まわりの届出を中心にやさしく解説します。相続税や遺産分割といった相続そのものの手続きは期限や専門知識が関わるため、別の記事で詳しく取り上げています。あわせてご覧ください。
    ※金額や期限は現行制度にもとづく目安です。細かい条件はお住まいの役所や年金事務所、専門家にご確認ください。

    死後の手続きの全体像|4つの分野に分けて考える

    死後の手続きは種類が多く、一覧にすると圧倒されてしまいがちです。まずは大きく4つの分野に分けて全体像をつかんでおくと、「何から手をつければよいか」が整理しやすくなります。

    • 葬儀・供養に関すること…死亡届、火葬・埋葬の許可、葬儀、初七日・四十九日の法要など
    • 行政の届出…年金の受給停止、健康保険・介護保険の資格喪失、世帯主変更など
    • 生活インフラの手続き…電気・ガス・水道、NHK、携帯電話、サブスク、銀行口座、クレジットカードなど
    • 相続に関すること…遺産分割、相続放棄、相続税の申告など

    このうち、期限が短く待ったなしなのが「葬儀・供養」と「行政の届出」です。「生活インフラ」は少し落ち着いてからでも進められますが、放置すると料金が発生し続けたり、口座が使えず困ったりすることがあります。「相続」は3か月・10か月といった大きな期限があり、別途しっかり取り組む必要があります。本記事では、生活まわりの届出を中心に、時系列で見ていきましょう。

    期限順チェックリスト|手続き・期限・窓口の早見表

    遺族がやるべきおもな手続きを、期限の目安が早い順にまとめました。すべてを一度に行う必要はありません。まずは上から順に、ご自身の家庭に当てはまるものだけをチェックしていけば大丈夫です。

    手続き期限の目安おもな窓口
    死亡届・火葬許可の申請死亡を知った日から7日以内市区町村役所(葬儀社が代行することも)
    世帯主変更届14日以内市区町村役所
    年金受給の停止厚生年金は10日以内・国民年金は14日以内(目安)年金事務所・年金相談センター
    未支給年金の請求すみやかに(時効5年)年金事務所
    健康保険・後期高齢者医療の資格喪失14日以内市区町村役所・健康保険組合
    介護保険の資格喪失・保険証返納14日以内市区町村役所
    公共料金・NHK・携帯の名義変更/解約早めに各契約先
    クレジットカードの解約早めにカード会社
    銀行口座の届出(相続手続きへ)早めに各金融機関
    運転免許証の返納早めに警察署・運転免許センター
    パスポートの返納早めにパスポートセンター
    葬祭費・埋葬料の請求2年以内市区町村役所・健康保険組合
    生命保険金の請求3年以内が目安保険会社
    遺族年金の請求5年以内年金事務所
    相続放棄・限定承認3か月以内家庭裁判所
    相続税の申告・納付10か月以内税務署

    期限はあくまで目安です。土日祝日や役所の受付時間の関係で前後することもあります。年金や保険の手続きは、亡くなった方が加入していた制度(会社員か自営業か、後期高齢者医療かなど)によって窓口や期限が変わります。迷ったら、まずはお住まいの市区町村役所に電話で相談すると、必要な手続きを案内してもらえます。

    【葬儀後すぐ】死亡届と火葬許可・葬儀関連

    まず必要になるのが死亡届です。医師が作成する死亡診断書(死体検案書)と一体になった用紙で、死亡を知った日から7日以内に、亡くなった方の本籍地・死亡地・届出人の住所地のいずれかの市区町村役所に提出します。届出をすると火葬許可証が交付され、これがないと火葬ができません。実務上は、この一連の届出を葬儀社が代行してくれることが多く、遺族は署名・押印などを行うだけで済むケースがほとんどです。

    死亡診断書は、生命保険金の請求や年金の手続きなど、後の場面で提出を求められることがあります。原本は1通しかないため、役所に提出する前にコピーを5〜10枚ほど取っておくと安心です。また、葬儀にかかった費用の領収書や明細は必ず保管しておきましょう。後述する葬祭費・埋葬料の申請や、相続税の計算で葬儀費用を差し引く際に必要になります。

    葬儀そのものの形式や費用の目安については、家族葬とは?費用相場と流れの記事もあわせてご覧ください。

    【〜2週間】行政の届出(年金・健康保険・介護保険・世帯主変更)

    葬儀が一段落したら、役所や年金事務所での届出を進めます。期限が14日前後と短いものが多いため、早めに動くのがポイントです。

    年金の受給停止と未支給年金の請求

    年金を受け取っていた方が亡くなったら、年金の受給を止める手続きが必要です。期限の目安は厚生年金で10日以内、国民年金で14日以内とされています。日本年金機構に亡くなった方のマイナンバーが登録されている場合は、届出が省略できることもあります。手続きが遅れて年金を受け取りすぎると、あとで返還が必要になるので注意しましょう。あわせて、亡くなった月分までのまだ支払われていない年金(未支給年金)は、生計を同じくしていた遺族が請求できます。

    健康保険・後期高齢者医療の資格喪失

    亡くなった方の健康保険証を返却し、資格喪失の手続きをします。国民健康保険や後期高齢者医療制度の場合は市区町村役所、会社の健康保険の場合は勤務先や健康保険組合が窓口です。国民健康保険では、後日、保険料の精算や葬祭費の案内が行われることがあります。

    介護保険の資格喪失・保険証の返納

    介護保険の被保険者証を持っていた方は、市区町村役所に返納し、資格喪失の届出を行います。未納・過納の保険料があれば、あわせて精算されます。

    世帯主変更届

    亡くなった方が世帯主だった場合、残された世帯員が2人以上いるときは、14日以内に世帯主変更届を市区町村役所に提出します。残った世帯員が1人だけのときや、次の世帯主が明らかなときは、届出が不要な場合もあります。

    【早めに】生活インフラの手続き(公共料金・NHK・携帯・銀行・カード)

    毎月料金が発生する契約は、名義変更や解約を早めに行いましょう。放置すると、使っていないサービスの料金が引き落とされ続けてしまいます。

    • 電気・ガス・水道…同居家族が住み続けるなら名義変更、住まないなら解約。各社の窓口やWebでOK
    • NHK・固定電話・インターネット…名義変更または解約。契約者本人が亡くなった旨を伝える
    • 携帯電話・スマホ…解約または承継。端末内のデータや連絡先が必要な場合は解約前に確認を
    • サブスク(動画・音楽配信、アプリ課金、有料会員など)…見落としやすいので、通帳やカード明細から洗い出して解約

    クレジットカードは、名義人が亡くなったらカード会社に連絡し、解約します。カードに紐づく年会費や公共料金・サブスクの引き落としが止まるほか、未払い残高がある場合は相続の対象になります。

    銀行口座は凍結される|仕組みと手続き

    金融機関が名義人の死亡を確認すると、その口座は凍結され、入出金や引き落としができなくなります。凍結は「死亡届を役所に出すと自動的に」行われるわけではなく、遺族が銀行に連絡したり、銀行が新聞のお悔やみ欄などで把握したりして行われます。凍結後にお金を引き出すには、遺言書や遺産分割協議書、相続人全員の同意など、相続手続きに沿った書類が必要です。

    葬儀費用など当面のお金が必要なときは、一定額まで払い戻しを受けられる「預貯金の払戻し制度」を利用できる場合があります。口座凍結後の具体的な流れは、相続手続きの流れと期限一覧で詳しく解説しています。

    【落ち着いたら】遺品整理とデジタル遺品

    葬儀や行政の届出が落ち着いたら、遺品の整理に取りかかります。急いで処分すると、あとで必要な書類や貴重品が見つからなくなることがあるため、まずは重要書類・貴重品を先に確保しましょう。通帳、印鑑、保険証券、年金手帳、権利証、遺言書、契約書類などは、手続きで必要になります。

    近年とくに悩ましいのがデジタル遺品です。スマホやパソコンのパスワードがわからず、中の写真や連絡先、ネット銀行・ネット証券の口座、SNSアカウントにアクセスできない、というトラブルが増えています。ネット銀行・ネット証券は紙の通帳がないため、遺族が口座の存在に気づかないこともあります。メールやカード明細から取引先を探し、各社の相続手続き窓口に連絡しましょう。SNSは、追悼アカウントへの切り替えや削除の申請ができる場合があります。

    こうしたトラブルを防ぐには、元気なうちに口座やパスワードの情報をまとめておくことが有効です。エンディングノートの書き方もあわせて参考にしてください。

    受け取れるお金の手続き|葬祭費・遺族年金・生命保険金

    手続きには「支払う・返す」ものだけでなく、遺族が受け取れるお金もあります。申請しないともらえないものが多いので、忘れずに手続きしましょう。以下はいずれも目安であり、支給の可否や金額は加入状況や家族構成によって変わります。

    葬祭費・埋葬料

    国民健康保険や後期高齢者医療制度の加入者が亡くなると、葬儀を行った方に葬祭費(自治体により3万〜7万円程度が目安)が支給されます。会社の健康保険の場合は埋葬料(5万円が目安)が支給されます。申請先はそれぞれ市区町村役所や健康保険組合で、時効は2年です。

    遺族年金

    亡くなった方に生計を維持されていた配偶者や子などは、遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)を受け取れる場合があります。受給できるかどうかや金額は、加入していた年金の種類、保険料の納付状況、遺族の年齢や人数によって細かく決まります。年金事務所で確認・請求しましょう。時効は5年です。

    生命保険金・高額療養費など

    亡くなった方が生命保険に加入していた場合、受取人が保険会社に生命保険金を請求します。請求には死亡診断書のコピーなどが必要で、時効は3年が目安です。また、亡くなる前の医療費が高額だった場合は、高額療養費の払い戻しを受けられることがあります。

    相続に関する手続きは別途|期限のあるものは専門記事へ

    ここまでは生活まわりの届出を中心に見てきましたが、これとは別に相続そのものの手続きがあります。相続には期限が決まっているものがあり、対応が遅れると不利になることもあるため注意が必要です。

    • 相続放棄・限定承認…借金などマイナスの財産を引き継ぎたくないときは、原則3か月以内に家庭裁判所へ申述します
    • 準確定申告…亡くなった方に確定申告が必要だった場合は4か月以内
    • 相続税の申告・納付…課税対象になる場合は10か月以内に税務署へ

    これらの詳しい流れや必要書類は、相続手続きの流れと期限一覧や、相続放棄とは?手続きの流れと期限の記事で解説しています。財産や借金の状況によっては判断が難しいこともあるため、迷ったときは早めに専門家(司法書士・税理士・弁護士など)に相談しましょう。

    (PR)相続手続きに不安がある方は、専門家に無料で相談できるサービスもあります

    よくある質問(FAQ)

    Q. 何から手をつければいいですか?

    A. まずは葬儀に必要な死亡届と火葬許可(多くは葬儀社が代行)、次に年金の停止や健康保険・介護保険の資格喪失、世帯主変更といった役所の届出です。期限が14日前後と短いものから片づけ、公共料金や銀行の手続きは少し落ち着いてからでも構いません。

    Q. 手続きは家族だけでできますか?

    A. 役所や年金、公共料金などの多くは、遺族が窓口や電話・Webで進められます。ただし、相続財産の分け方でもめそうなときや、不動産の名義変更、相続税の申告などは専門知識が必要になるため、司法書士・税理士・弁護士に依頼すると安心です。

    Q. 銀行口座はいつ凍結されますか?

    A. 役所に死亡届を出しても自動では凍結されません。遺族が銀行に連絡したときや、銀行が死亡を把握したときに凍結されます。凍結後は相続手続きに沿った書類がないと引き出せませんが、当面の費用は払戻し制度を利用できる場合があります。

    Q. 受け取れるお金にはどんなものがありますか?

    A. 葬祭費・埋葬料、遺族年金、生命保険金、未支給年金、高額療養費などがあります。いずれも申請しないと受け取れないものが多く、2〜5年ほどの時効があります。心当たりがあれば、役所・年金事務所・保険会社に確認しましょう。

    Q. 手続きに共通して必要な書類は?

    A. 死亡診断書のコピー、亡くなった方や相続人の戸籍・住民票、印鑑(実印・印鑑証明)、通帳や保険証券などが多くの手続きで必要になります。戸籍などは複数通まとめて取得しておくと、何度も役所に足を運ばずに済みます。

    相続の手続きに不安があるとき

    (PR)相続の手続きは書類や期限が多く、専門家に任せると安心な場面もあります。相続の無料相談を利用できるサービスもあります。

    PR

    相続の手続きをまるごと相談したい方はこちら

    税金の計算だけでなく、戸籍集め・遺産分割・名義変更など相続の手続き全体をサポートしてほしい方には、相続サポートサービス「相続アシスト」という選択肢もあります。Webフォームから問い合わせできます。

    相続アシストに問い合わせてみる

    ※本サービスは当サイトの提携先が提供します。

    まとめ

    死後の手続きは数が多く複雑ですが、「葬儀・行政・生活・相続」の4分野に分け、期限の早いものから片づけていけば、一つずつ確実に進められます。死亡届と火葬許可、年金の停止、健康保険・介護保険の資格喪失、世帯主変更といった期限の短い届出をまず優先し、公共料金・銀行・カードなどの生活インフラは落ち着いてから対応しましょう。

    また、葬祭費や遺族年金、生命保険金など、申請すれば受け取れるお金もあります。忘れずに手続きしてください。相続放棄や相続税など期限のある相続手続きは、相続手続きの流れと期限一覧の記事もあわせてご確認ください。

    この記事の内容は現行制度にもとづく一般的な目安です。ご家庭の事情や制度改正によって手続きや金額は変わることがあります。判断に迷うときは、お住まいの市区町村役所・年金事務所や、司法書士・税理士などの専門家に確認しながら進めることをおすすめします。

  • 遺言書の書き方|自筆証書と公正証書の違い・費用・注意点を解説

    遺言書の書き方|自筆証書と公正証書の違い・費用・注意点を解説

    「遺言書を残しておいた方がよいと聞くけれど、何をどう書けばよいのか分からない」という声は少なくありません。遺言書は、のこされたご家族が相続で迷ったり争ったりしないための大切な備えです。ただし、書き方の決まりを守らないと、せっかくの遺言が無効になってしまうこともあります。このページでは、遺言書の基本から、自筆証書遺言と公正証書遺言の違い、費用の目安、よくある失敗までを、はじめての方にも分かりやすく整理しました。制度の細かな点は変わることもあるため、最終的には公証役場や法務局、専門家にご確認いただくことをおすすめします。

    遺言書とは(何ができるのか)

    遺言書とは、自分が亡くなったあとに、財産を誰にどのように引き継いでほしいかなどの意思を、法律で定められた方式にしたがって書き残す書面です。現行制度では、遺言書に法的な効力が認められており、相続人同士の話し合い(遺産分割協議)よりも、原則として遺言の内容が優先されるとされています。

    遺言書がとくに役立つのは、相続人が複数いる場合や、法定相続分とは異なる分け方をしたい場合、あるいは相続人以外にも財産を渡したい場合などです。たとえば「自宅は同居している子に」「預貯金は配偶者に」といった希望があるときも、遺言書があれば意思を明確に伝えられます。反対に、何も残しておかないと、のこされたご家族が話し合い(遺産分割協議)で分け方を決めることになり、意見が合わずに時間や労力がかかってしまうこともあります。

    遺言書でできる主なことには、次のようなものがあります。

    • 誰にどの財産を相続させるかを指定する(不動産・預貯金・株式など)
    • 相続人以外の人やお世話になった方へ財産を贈る(遺贈)
    • 相続手続きを進める人(遺言執行者)を決めておく
    • 子の認知など、身分に関することを定める

    エンディングノートとの違い=法的効力の有無

    よく似たものにエンディングノートがありますが、両者は役割が異なります。エンディングノートは、自分の思いや希望、連絡先、医療・介護の希望などを自由に書き留めておくもので、書き方に決まりはない一方、法的な効力はありません。これに対して遺言書は、方式を守って作成すれば法的効力を持ちます。財産の分け方をきちんと決めておきたい場合は遺言書、思いや情報を幅広く残したい場合はエンディングノートと、目的に応じて使い分けると分かりやすいでしょう。エンディングノートについては、エンディングノートの書き方もあわせてご覧ください。

    遺言書の種類(自筆証書・公正証書・秘密証書)

    一般的に利用される遺言書には、主に「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。それぞれに特徴があり、手軽さ・確実性・費用のバランスが異なります。まずは全体像を比較表で確認してみましょう。

    種類作成方法費用の目安特徴
    自筆証書遺言本人が全文を自書(財産目録はPC等も可)ほぼ無料(保管制度利用時は手数料)手軽だが方式不備で無効になる恐れ
    公正証書遺言公証人が作成・証人2人が立会い財産額に応じた公証人手数料方式不備が起きにくく確実性が高い
    秘密証書遺言内容を秘密にして公証役場で存在を証明公証人手数料(定額程度)内容を秘密にできるが利用は多くない

    実際によく使われているのは、手軽な「自筆証書遺言」と、確実性の高い「公正証書遺言」の2つです。以下ではこの2つを中心に、書き方や作り方を見ていきます。

    自筆証書遺言の書き方

    自筆証書遺言は、自分ひとりで手軽に作成できるのが大きな利点です。ただし、法律で定められた方式を守る必要があり、ひとつでも欠けると無効になってしまう恐れがあります。現行制度では、次の点が基本とされています。

    • 全文を自分で書く(自書)のが原則です。本文をパソコンで作成したり、他人に代筆してもらったものは認められません。
    • 財産目録はパソコン作成や通帳のコピー添付も可とされています。その場合は、各ページに署名押印が必要です。
    • 作成した日付を正確に記載します。「令和〇年〇月〇日」のように特定できる形で書きます。
    • 署名と押印をします。印鑑は実印でなくても差し支えないとされていますが、実印が望ましいという考え方もあります。

    書き方の一例としては、冒頭に「遺言書」と表題を書き、本文で「誰に」「どの財産を」「相続させる(または遺贈する)」を具体的に記します。不動産であれば登記事項証明書のとおりに、預貯金であれば金融機関名・支店名・口座の種類などを、あとから特定できる形で書いておくと安心です。最後に日付・氏名を自書し、押印して仕上げます。書き上げたあとは、封筒に入れて保管場所を家族に伝えておくか、次に紹介する保管制度を利用するとよいでしょう。

    法務局の保管制度も活用できます

    自筆証書遺言は、自宅で保管すると紛失や改ざん、発見されないといった心配があります。これを補う仕組みとして、法務局が遺言書を預かる「自筆証書遺言書保管制度」があります。この制度を利用すると、原本が法務局で保管されるほか、家庭裁判所での検認が不要になるといった利点があるとされています。利用の要件や手数料、必要な様式については、あらかじめ法務局に確認しておくと安心です。

    公正証書遺言の作り方

    公正証書遺言は、公証役場で公証人が関与して作成する遺言書です。方式の不備で無効になりにくく、原本が公証役場に保管されるため、確実性を重視する方に向いているとされています。一般的な流れは次のとおりです。

    1. 遺言の内容(誰に何を渡すか)をあらかじめ整理する
    2. 必要書類をそろえ、公証役場に相談・打ち合わせをする
    3. 証人2人の立会いのもと、公証人が遺言者の意思を確認しながら作成する
    4. 内容を確認し、遺言者・証人・公証人が署名押印して完成

    必要書類は、遺言者の本人確認書類や印鑑登録証明書、財産に関する資料(不動産の登記事項証明書や固定資産評価証明書、預貯金の通帳など)が一般的です。証人は、推定相続人など一定の関係者はなれないとされているため、誰に依頼するか事前に考えておく必要があります。証人が見つからない場合は、公証役場で紹介してもらえることもあります。必要書類は状況によって異なるため、詳しくは公証役場に確認してください。

    公正証書遺言は、公証人という法律の専門家が関与するため、内容の面でも相談しながら作成できるのが安心な点です。体調などの事情で公証役場へ出向くのが難しい場合には、公証人に出張してもらえる仕組みもあるとされています。準備には打ち合わせの時間もかかるため、余裕をもって相談を始めるとよいでしょう。

    費用の目安

    遺言書にかかる費用は、種類によって大きく異なります。あくまで目安ですが、次のように考えておくとよいでしょう。

    • 自筆証書遺言:紙とペン、印鑑があれば作成でき、基本的にほぼ無料です。法務局の保管制度を利用する場合は、別途保管の手数料がかかります。
    • 公正証書遺言:財産の額や渡す相手の人数に応じて、公証人手数料がかかります。財産が多いほど手数料も高くなる仕組みとされています。

    公正証書遺言の手数料は、法令で定められた基準にもとづいて計算されます。財産の評価額によって変わるため、正確な金額は財産の内容が固まってから公証役場に見積もりを依頼するのが確実です。ここで示した金額感はあくまで目安であり、実際の費用は個々の状況によって異なる点にご注意ください。相続財産がどの程度になりそうかを大まかに把握したい場合は、相続税の対象になりそうかどうかも意識しておくと、遺言の内容を考える際の参考になります。

    なお、遺言の内容を考えるうえでは、ご自身の財産全体をおおまかに把握しておくことも大切です。相続税がかかりそうかどうかの見当をつけたい場合は、相続税ざっくり計算機のような簡易ツールで試算してみると、分け方を検討する際の参考になります。あくまで目安として活用し、正確な判断は専門家にご相談ください。

    遺言書でよくある失敗・無効になるケース

    せっかく遺言書を書いても、方式の不備や内容のあいまいさによって、効力が認められなかったり、かえって争いのもとになったりすることがあります。とくに自筆証書遺言では、次のような点に注意が必要とされています。

    • 日付の不備:日付が書かれていない、「〇年〇月吉日」のように日を特定できない書き方は無効となる恐れがあります。
    • 訂正方法の誤り:書き間違いの訂正には法律で決められた方法があり、正しく直さないと訂正が認められないことがあります。大きな修正は書き直す方が安全です。
    • あいまいな表現:「財産は家族で仲よく分けて」など具体性を欠く書き方だと、かえって解釈で揉める原因になりかねません。
    • 遺留分への配慮不足:特定の人に極端に偏った内容にすると、他の相続人の遺留分をめぐるトラブルにつながることがあります。

    遺留分への配慮

    遺留分とは、一定の相続人に法律上保障されている、最低限の取り分のことです。現行制度では、配偶者や子などには遺留分が認められているとされています。遺言で財産を特定の人に集中させること自体は可能ですが、他の相続人の遺留分を侵害する内容だと、あとから遺留分に相当する金銭の請求(遺留分侵害額請求)を受ける可能性があります。争いを避けるためには、遺留分にも配慮した内容にしておくこと、そして「なぜそのように分けたのか」という思いを付言事項として残しておくことが、円満な相続につながりやすいと言われています。遺留分の計算は財産の評価や生前贈与の有無などで複雑になりやすいため、判断に迷う場合は弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

    よくある質問(FAQ)

    Q. 遺言書は何歳から書けますか?

    現行制度では、満15歳以上であれば遺言をすることができるとされています。年齢の上限はありません。ご自身の意思をはっきり示せるうちに、早めに準備しておくと安心です。

    Q. 一度書いた遺言書は書き直せますか?

    はい、遺言書はいつでも書き直しや撤回ができます。内容が異なる新しい遺言書を作成した場合、原則として日付の新しいものが優先されるとされています。状況の変化に応じて、見直していくとよいでしょう。

    Q. 自筆証書遺言と公正証書遺言はどちらがよいですか?

    手軽さを重視するなら自筆証書遺言、確実性を重視するなら公正証書遺言が向いているとされています。財産が多い場合や相続人が複数で複雑な場合は、無効になりにくい公正証書遺言を選ぶ方が安心という考え方もあります。

    Q. 遺言書が見つからないと無効になりますか?

    遺言書は、発見されなければ内容を実現できません。自宅保管はこの点が弱点になります。法務局の保管制度や公正証書遺言を利用すると、所在が明確になり、発見されないという心配を減らせるとされています。

    Q. 遺言書に決まった用紙はありますか?

    自筆証書遺言そのものに決まった用紙はありません。ただし、法務局の保管制度を利用する場合は、余白などの様式が定められています。利用を検討する場合は、事前に法務局の様式を確認しておきましょう。

    終活の準備を相談したいとき

    (PR)終活は何から手をつけるか迷いがちです。デジタル終活を含め、終活の準備を相談できるサービスもあります。

    PR

    スマホ・パソコンの中身、そのままで大丈夫ですか?

    写真・連絡先・ネット口座・サブスク…デジタルなデータの終活は、もしものとき家族が一番困るポイントです。デジタル終活サービス「デジ・タクセル」なら、情報の整理から安全な引き継ぎまで無料で相談できます。

    デジタル終活を無料で相談してみる(デジ・タクセル)

    ※本サービスは当サイトの提携先が提供します。相談は無料です。

    まとめ

    遺言書は、のこされたご家族が安心して相続を進めるための、思いやりのある備えです。手軽に始めたい方は自筆証書遺言、確実性を重視したい方は公正証書遺言と、ご自身の状況に合わせて選ぶとよいでしょう。いずれの場合も、日付・署名押印などの方式を守ること、内容を具体的に書くこと、そして遺留分にも配慮することが大切です。まずはご自身の財産や家族関係を整理するところから始めてみてください。終活全体の進め方については終活は何から始めればよいかも参考になります。制度の細かな点や個別の判断については、公証役場・法務局・専門家に確認しながら進めていくと安心です。

    遺言書は「まだ早い」と思っているうちに、書けないままになってしまうことも少なくありません。元気なうちに一度作っておき、家族構成や財産に変化があったときに見直していく、という進め方が現実的です。完璧を目指しすぎず、まずは書けるところから始めてみることが、のこされたご家族への何よりの思いやりになるでしょう。

    ※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的助言ではありません。制度の内容は改正されることがあります。実際の手続きや個別のご判断にあたっては、公証役場・法務局・弁護士・司法書士などの専門家にご確認ください。

  • エンディングノートの書き方|最初に書くべき項目と続けるコツ

    エンディングノートの書き方|最初に書くべき項目と続けるコツ

    「エンディングノートを書いてみたいけれど、何から手をつければいいのかわからない」という方は少なくありません。結論から言うと、エンディングノートは完璧に仕上げる必要はなく、基本情報など書きやすいところから少しずつ埋めていき、年に一度見直すくらいの気持ちで続けていくのが、無理なく書き上げるコツだと言われています。

    この記事では、エンディングノートに書いておきたい項目を6つに分類して紹介したうえで、書き始める順番のおすすめや、途中で挫折しないための続け方のコツ、ノートの選び方までをまとめて解説します。

    エンディングノートとは何か

    エンディングノートとは、自分の財産状況・医療や介護に関する希望・葬儀やお墓の希望・家族へのメッセージなどを、自由な形式で書き残しておくノートのことです。市販のノートを使う人もいれば、ノートやパソコン、無料のテンプレートを使って自分なりにまとめる人もおり、決まった書式はありません。

    大きな特徴は、遺言書のような法的な効力を持たない点です。遺言書は民法で定められた方式に従って作成しないと法的に無効になる可能性がありますが、エンディングノートにはそうした形式の縛りがなく、自由に書き足したり書き直したりできます。その一方で、財産の分け方などをエンディングノートに書いても、法的な拘束力は生じないと考えられています。

    そのため、次のような役割分担で考えるとわかりやすいでしょう。

    • 遺言書:財産の分け方など、法的な効力を持たせたい事項を残す
    • エンディングノート:財産の在りか・医療や介護の希望・葬儀の希望・家族へのメッセージなど、法的効力は不要だが家族に伝えておきたい事項を残す

    財産の分け方を確実に法的効力のある形で残したい場合や、相続でトラブルになりそうな事情がある場合は、エンディングノートとは別に、弁護士や行政書士、公証役場等に相談しながら遺言書の作成を検討することをおすすめします。

    エンディングノートに書く項目6分類

    エンディングノートに何を書けばよいか迷ったときは、次の6つのカテゴリーに分けて考えると整理しやすくなります。

    1. 基本情報

    氏名・生年月日・本籍地・血液型・マイナンバーの保管場所など、自分自身に関する基本的な情報です。緊急時に家族や医療機関が確認したい内容が中心になるため、まず埋めやすい項目といえます。

    2. 財産・お金

    預貯金口座(金融機関名・支店名など)、不動産、株式や投資信託などの金融資産、生命保険、負債(ローンなど)、年金の種類、貴金属や骨董品といった財産価値のあるものを書き出しておきます。細かい金額まで正確に書く必要はなく、「どこに何があるか」がわかる状態にしておくことが目的です。財産の全体像を整理したい場合は、相続税ざっくり計算機を使って、概算でどのくらいの規模になりそうかを一度確認しておくと、書き出す際の目安になります。

    3. デジタル資産

    スマートフォンやパソコンのパスコード、各種SNSのIDやパスワード、サブスクリプションサービスの契約状況、ネット銀行やネット証券の口座情報などです。近年増えている資産の分類ですが、書き忘れられやすい項目でもあります。パスコードがわからないままでは、スマホの中にある写真や連絡先、契約状況の確認すらできなくなってしまうため、家族が特に困りやすいポイントだと言われています。パスワードそのものを直接書くことに抵抗がある場合は、「どこに控えているか」の保管場所だけを書いておく方法もあります。

    4. 医療・介護の希望

    延命治療を望むかどうか、介護が必要になったときに自宅で過ごしたいか施設を希望するか、かかりつけ医や持病・服薬の情報などを書いておきます。こうした希望は、いざというときに家族が判断に迷いやすい部分であり、元気なうちに書き残しておくことで、家族の心理的な負担を軽くできると考えられています。

    5. 葬儀・お墓の希望

    葬儀の形式(家族葬・一般葬・直葬など)、参列してほしい人の範囲、宗教・宗派、お墓の希望(既存のお墓を使うか、墓じまいや改葬を検討しているかなど)を書いておきます。すでにお墓があり、墓じまいや改葬を検討している場合は、墓じまい費用シミュレーターで費用の目安を確認しておくと、希望を書く際の参考になります。

    6. 家族へのメッセージ

    これまでの感謝の気持ちや、家族に伝えておきたい思いを自由に書く欄です。財産や手続きに関する項目とは違い、正解のない自由記述の部分ですが、家族にとっては最も心に残る項目になりやすいとも言われています。

    書き始める順番のおすすめ

    6つの項目をすべて一度に埋めようとすると、途中で手が止まってしまいがちです。一般的には、次のような順番で進めると取り組みやすいとされています。

    1. 基本情報から書く:調べればすぐにわかる内容が多く、最初の達成感を得やすい
    2. 書きやすいものから埋める:財産・お金、デジタル資産など、リストアップするだけで進められる項目から着手する
    3. 家族と話しながら書く項目は後回しにする:医療・介護の希望や葬儀の希望は、家族との会話を経てから書くほうがまとまりやすいことが多い
    4. 家族へのメッセージは最後でよい:気持ちが乗ったタイミングで、時間をかけて書くのがおすすめ

    自分がどの項目までできていて、どこが手つかずなのかを把握したい場合は、エンディングノート進捗チェッカーを使うと、財産・医療や介護の希望・葬儀の希望・デジタル資産といった項目ごとに準備状況を可視化できます。抜け漏れに気づきやすくなるため、これから書き始める方にも、途中まで書いて止まっている方にもおすすめです。

    PR

    スマホ・パソコンの中身、そのままで大丈夫ですか?

    写真・連絡先・ネット口座・サブスク…デジタルなデータの終活は、もしものとき家族が一番困るポイントです。デジタル終活サービス「デジ・タクセル」なら、情報の整理から安全な引き継ぎまで無料で相談できます。

    デジタル終活を無料で相談してみる(デジ・タクセル)

    ※本サービスは当サイトの提携先が提供します。相談は無料です。

    続けるコツ

    エンディングノートは一度書いたら終わりではなく、状況の変化に合わせて書き直していくものです。長く続けるためのコツを3つ紹介します。

    完璧を目指さない

    すべての項目を一度に埋めようとすると、負担が大きくなり手が止まりやすくなります。空欄があってもよいので、まずは書けるところから少しずつ埋めていく姿勢のほうが、結果的に続けやすいとされています。

    年1回程度、見直す時期を決めておく

    財産の状況や健康状態、家族構成は年月とともに変化します。誕生日や年末年始など、見直すタイミングをあらかじめ決めておくと、内容を古いまま放置してしまうことを防ぎやすくなります。

    家族に保管場所を伝えておく

    どれだけ丁寧に書いても、いざというときに家族がノートの存在に気づけなければ意味がありません。ノートそのものの中身を見せる必要はありませんが、「エンディングノートを書いていること」と「どこに保管しているか」だけは、信頼できる家族に伝えておくとよいでしょう。

    市販ノートと無料テンプレの選び方

    エンディングノートには、大きく分けて「市販のノート」と「無料テンプレート」の2つの選び方があります。

    • 市販のノート:項目があらかじめ整理されているため、何を書けばよいか迷いにくく、初めて取り組む方に向いています。書店や文具店、通販で購入できます。
    • 無料テンプレート:自治体や各種サービスが配布しているものが多く、費用をかけずに始められます。項目を自分なりにカスタマイズしたい方に向いています。

    どちらを選んでも構いませんが、共通して大切なのは「デジタル資産」の項目が含まれているかどうかです。従来型のノートの中には、デジタル資産の項目が用意されていないものもあるため、選ぶ際やカスタマイズする際に一つの目安にするとよいでしょう。

    よくある質問(FAQ)

    エンディングノートは手書きとパソコンのどちらで書くとよいですか?

    どちらでも構わないとされています。手書きは特別な準備が不要で、家族が見つけたときにすぐ読める点が利点です。一方、パソコンやスマホのアプリ・テンプレートは修正や追記がしやすいため、内容を頻繁に見直したい方に向いています。デジタルで作成する場合は、家族がファイルの保存場所やパスワードにたどり着けるよう、保管場所を別途伝えておくことが大切だと言われています。

    エンディングノートは何歳くらいから書き始めればよいですか?

    書き始める年齢に決まりはなく、思い立ったときが始めどきだとされています。定年前後や還暦をきっかけに書き始める方が多い一方、近年は資産やSNS・サブスクなどのデジタル情報を整理する目的で、40〜50代から準備を始める方も増えていると言われています。体力や判断力があるうちのほうが落ち着いて書き進めやすいため、早めに着手しておくと安心です。

    エンディングノートに書いてはいけないことはありますか?

    法律上の禁止事項はありませんが、注意したい点はあります。まず、銀行の暗証番号やパスワードそのものを直接書き込むと、紛失・盗難時に悪用される恐れがあるため、保管場所だけを記す方法が安全とされています。また、財産の分け方など法的な効力を持たせたい内容は、エンディングノートに書いても拘束力が生じないため、遺言書として別途残すことが望ましいと考えられています。

    エンディングノートを書けば遺言書は不要になりますか?

    目的が異なるため、置き換えられるものではないとされています。エンディングノートは希望や情報を家族に伝えるためのもので、法的な効力はありません。相続や財産分与を法的に確実な形で残したい場合は、エンディングノートとは別に、弁護士・行政書士・公証役場等に相談しながら遺言書を作成することが望ましいと考えられています。

    まとめ

    エンディングノートは、遺言書とは異なり法的な効力を持たないものの、基本情報・財産・お金・デジタル資産・医療や介護の希望・葬儀やお墓の希望・家族へのメッセージという6つの分類で書き残しておくことで、家族にとって「本人の意思がわかる手がかり」になると考えられています。

    書き始める際は、基本情報など書きやすいところから着手し、完璧を目指さず、年1回程度の見直しと家族への保管場所の共有を続けていくことが、無理なく書き進めるポイントです。まずはエンディングノート進捗チェッカーで、自分がどこまで準備できているかを確認するところから始めてみてください。終活全体の進め方に迷っている方は、終活は何から始める?最初にやるべき5つのことも参考にしてみてください。

    なお、財産の分け方など法的な効力を持たせたい事項については、エンディングノートとは別に、弁護士・行政書士等の専門家に相談しながら遺言書の作成を検討することをおすすめします。

    最終更新日:2026年7月9日

    本ツール・記事は一般的な目安を提供するものであり、個別の税務・法律・資産運用上の助言ではありません。実際の手続き・判断にあたっては、税理士・弁護士・ファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談ください。当サイトの情報の正確性には配慮していますが、制度改正等により内容が最新でない場合があります。

  • エンディングノート進捗チェッカー(終活チェックリスト26項目)

    エンディングノート進捗チェッカー(終活チェックリスト26項目)

    エンディングノートに書いておきたい項目・終活でやっておきたい準備を26項目のチェックリストにしました。チェックすると準備度がパーセントで表示され、ブラウザに自動保存されるので、少しずつ進められます(サーバーには送信されません)。

    エンディングノート進捗チェッカー

    終活でやっておきたい26項目をチェック。
    あなたの「終活の準備度」がひと目でわかります。

    終活の準備度

    0%

    プライバシーについて: チェックの状態はお使いのブラウザにのみ保存され、サーバーには送信されません。次回このページを開いたときに自動で復元されます。共用のパソコンでは、使い終わったら下の「すべてリセット」を押してください。
    ご注意: 本チェックリストは、一般的な終活で整理・準備しておくとよい項目の目安です。すべての方に同じ項目が必要とは限りません。

    特に、遺言書の作成、財産の分け方の指定、相続に関する取り決めなど、法的な効力が必要な事項は、書き方や形式に厳格なルールがあります。弁護士・司法書士・行政書士などの専門家に必ずご相談ください。
    PR

    スマホ・パソコンの中身、そのままで大丈夫ですか?

    写真・連絡先・ネット口座・サブスク…デジタルなデータの終活は、もしものとき家族が一番困るポイントです。デジタル終活サービス「デジ・タクセル」なら、情報の整理から安全な引き継ぎまで無料で相談できます。

    デジタル終活を無料で相談してみる(デジ・タクセル)

    ※本サービスは当サイトの提携先が提供します。相談は無料です。

    あわせて読みたい

    終活全体の進め方は「終活は何から始める?最初にやるべき5つのこと」を参照してください。お金まわりの整理には老後資金逆算シミュレーター相続税ざっくり計算機が役立ちます。

    このチェッカーの使い方

    • できていると思う項目にチェックを入れると、上部の「終活の準備度」がパーセントで表示されます。カテゴリごとの達成度もひと目でわかります。
    • チェックの状態はお使いのブラウザに自動保存され、次回このページを開くと復元されます。少しずつ進められるので、一度に全部そろえる必要はありません。
    • 共用のパソコンを使う場合は、終わったら「チェックをすべてリセット」を押してください。

    続けるコツ

    • まずは「基本情報」から。住所や保険証・年金・身分証の保管場所など、書きやすい項目から一つずつ埋めるのがおすすめです。
    • 完璧を目指さず、思い出したときに追記していく形で問題ありません。準備度が少し上がるだけでも前進です。
    • チェックした内容は、実際のエンディングノートやメモに書き残しておくと、いざというときに家族が困りません。

    よくある質問

    26項目すべてを埋めないといけませんか?

    いいえ。これは一般的に整理しておくとよい項目の目安です。すべての方に同じ項目が必要とは限らないため、自分に関係する項目から進めれば十分です。

    チェックした内容は他の人に見られますか?

    チェックの状態はお使いのブラウザにのみ保存され、サーバーには送信されません。ただし同じ端末を使う人には見えるため、共用機ではリセットをおすすめします。

    エンディングノートには法的な効力がありますか?

    エンディングノート自体に法的な効力はありません。遺言書の作成や相続の取り決めなど、法的な効力が必要な事項は書き方に厳格なルールがあるため、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家にご相談ください。

    関連記事

  • 終活は何から始める?最初にやるべき5つのこと

    終活は何から始める?最初にやるべき5つのこと

    「終活を始めたほうがいいのはわかっているけれど、何から手をつければいいのかわからない」——そんな声をよく耳にします。終活という言葉は広く知られるようになった一方で、実際にやるべきことは財産整理・エンディングノート・老後資金・医療や介護の希望・お墓や葬儀の準備など多岐にわたり、範囲が広すぎて最初の一歩を踏み出しにくいのも事実です。

    この記事では、これから終活を始めようと考えている方に向けて、最初に取り組んでおきたい5つのことを順番に紹介します。難しく考えず、できるところから少しずつ進めていくことが、終活を無理なく続けるコツです。

    そもそも終活とは何か

    終活とは、人生の終わりに向けて、自分の財産・気持ち・希望を整理し、残される家族が困らないように準備を進めていく活動全般を指す言葉です。もともとは葬儀やお墓の準備を指すことが多かった言葉ですが、近年では老後の生き方や医療・介護に対する希望を考えることも含めて、より広い意味で使われるようになっています。

    終活は「死ぬための準備」というよりも、「これからの人生をどう過ごしたいかを見つめ直すための準備」という側面が大きく、早めに取り組むほど気持ちにも余裕を持って進められると言われています。

    終活は何歳から始めるべきか

    終活を始める年齢に決まりはありませんが、一般的には仕事や子育てが一段落し、老後を具体的に意識し始める50代〜60代から取り組む方が多いとされています。定年退職や年金の受給開始が近づくこの時期は、財産やこれからの暮らしを見つめ直すきっかけをつかみやすいためです。

    もちろん、40代のうちから少しずつ情報を集めておくのも早すぎるということはありません。体力や判断力に余裕があるうちに始めておくほど、じっくり考えながら進められると言われています。特に年金は受け取り始める年齢によって受給額が変わるため、早めに年金は何歳からもらうと得かの考え方を確認しておくと、老後資金の計画も立てやすくなります。

    ステップ1:持ち物と財産の棚卸しをする

    最初に取り組みたいのが、持ち物と財産の棚卸しです。預貯金・不動産・株式や投資信託などの金融資産に加え、生命保険、負債(ローンなど)、貴金属や骨董品といった財産価値のあるものまで、一般的にはひととおりリストアップしておくと安心です。

    財産の棚卸しをしておくことで、相続が発生した際に家族が財産の全体像を把握しやすくなり、手続きの負担を軽減できると考えられています。また、財産総額のおおよその見通しが立つと、相続税がかかりそうかどうかの目安をつけやすくなります。

    相続税は遺産総額から基礎控除額を差し引いた金額に対して課税される仕組みになっており、法定相続人の数によって基礎控除額が変わります。財産の棚卸しがある程度進んだら、相続税ざっくり計算機を使って、概算でどのくらいの相続税がかかりそうかを一度確認しておくと、今後の対策を考えるうえでの目安になります。

    もし相続税がかかりそうな場合は、元気なうちから少しずつ財産を移しておく生前贈与という選択肢もあります。まずは相続税がかかる人・かからない人の違いを確認したうえで、生前贈与シミュレーターで暦年贈与の非課税枠を使った場合の目安を試算してみると、対策の方向性をイメージしやすくなります。

    ステップ2:エンディングノートを書き始める

    財産の棚卸しと並行して取り組みたいのが、エンディングノートの作成です。エンディングノートには法的な効力はありませんが、自分の財産状況・医療や介護に関する希望・葬儀やお墓の希望・大切な人へのメッセージなどを自由に書き残しておくことができ、家族にとって「本人の意思がわかる手がかり」として役立つと言われています。

    とはいえ、いざ書き始めようとすると「何をどこまで書けばいいのかわからない」という壁にぶつかりがちです。そのようなときは、エンディングノート進捗チェッカーを使って、財産・医療や介護の希望・葬儀の希望・デジタル資産といった項目ごとに、自分がどこまで準備できているかを可視化してみるのがおすすめです。抜け漏れに気づきやすくなり、無理なく少しずつ書き進めていく助けになります。

    具体的にどの項目から書き始めればよいか迷う場合は、エンディングノートの書き方もあわせて参考にしてみてください。最初に書いておきたい項目や、途中で挫折しないためのコツを整理して紹介しています。

    ステップ3:老後資金の見通しを立てる

    終活を考えるうえで、多くの方が不安に感じるのが老後資金です。「今の貯蓄でこの先やっていけるのか」「年金だけで生活できるのか」といった不安は、漠然としたままだとかえって大きく感じられてしまうものです。

    そこでまず、現在の年齢・貯蓄額・年金の見込み額・希望するリタイア年齢などをもとに、老後資金がどのくらい過不足しそうかを一般的な目安として試算してみることをおすすめします。老後資金逆算シミュレーターを使えば、これらの情報を入力するだけで、老後資金の過不足感をざっくりと把握することができます。

    不足額が見えてきた場合は、資産運用や保険の見直し、就労継続の検討など、今のうちから対策を考えるきっかけになります。逆に見通しが立つと、それだけで気持ちが軽くなったという声も少なくありません。

    (PR)終活の準備は、専門の相談サービスでまとめて相談することもできます

    ステップ4:医療・介護の希望を家族と話しておく

    終活というと財産やお金の話に目が向きがちですが、実際に家族が対応に困りやすいのが、医療や介護に関する本人の希望が分からないケースです。「延命治療を望むかどうか」「介護が必要になったとき自宅で過ごしたいか施設を希望するか」といった希望は、元気なうちに家族と話し合っておくことで、いざというときの家族の判断負担を大きく減らせると考えられています。

    こうした話は改まって切り出しにくいものですが、エンディングノートに医療・介護に関する希望欄を設けて記入しておくと、自然な形で家族と共有するきっかけになります。ステップ2で紹介したエンディングノート進捗チェッカーの医療・介護項目を活用しながら、少しずつ考えを整理し、機会を見つけて家族に伝えておくとよいでしょう。

    ステップ5:お墓・葬儀の方向性を考える

    最後に考えておきたいのが、お墓や葬儀に関する希望です。近年は家族葬や直葬といった小規模な葬儀を選ぶ方も増えており、また、先祖代々のお墓を維持することが難しくなり「墓じまい」を検討する家庭も増加傾向にあると言われています。

    お墓や葬儀については、希望する形式によって費用感が大きく変わってくるため、早い段階でおおまかな相場感をつかんでおくと、後々の判断がしやすくなります。すでにお墓があり、墓じまいや改葬を検討している場合は、墓じまい費用シミュレーターで、墓石撤去・離檀料・改葬先(永代供養・樹木葬・納骨堂など)ごとの費用の目安を確認しておくと、具体的な検討を進めやすくなります。

    これからお墓を用意する場合や、承継者がいない場合には、管理を寺院や霊園に任せられる永代供養という選択肢もあります。費用相場や樹木葬・納骨堂との違いを知っておくと選びやすくなります。また、葬儀の形式ごとの費用の目安は葬儀費用相場シミュレーターで、墓じまいを検討する場合の具体的な進め方は墓じまいの流れと費用相場で確認できます。

    葬儀やお墓についての希望も、エンディングノートに書き残しておくことで、家族が「本人はどうしたかったのか」に悩まずに済むようになります。

    終活で気をつけたいこと・注意点

    終活を進めるうえでは、いくつか気をつけておきたい点があります。まず、一度にすべてを完璧に仕上げようとしないことです。財産や希望は時間とともに変わっていくため、エンディングノートなども一度書いて終わりにせず、折に触れて見直していくことが大切だとされています。

    また、通帳や印鑑、保険証券などの保管場所や、エンディングノートの存在を家族が誰も知らないと、いざというときに役立てられないおそれがあります。すべてを詳しく伝える必要はありませんが、信頼できる家族には「どこに何があるか」の手がかりだけでも共有しておくと安心です。

    加えて、遺産分割や相続税など法律・税金が関わる判断は、思い込みで進めるとかえってトラブルの原因になりかねません。金額が大きい場合や家族関係が複雑な場合は、早めに税理士や弁護士などの専門家に相談することを検討しましょう。

    終活の準備を相談したいとき

    (PR)終活は何から手をつけるか迷いがちです。デジタル終活を含め、終活の準備を相談できるサービスもあります。

    PR

    スマホ・パソコンの中身、そのままで大丈夫ですか?

    写真・連絡先・ネット口座・サブスク…デジタルなデータの終活は、もしものとき家族が一番困るポイントです。デジタル終活サービス「デジ・タクセル」なら、情報の整理から安全な引き継ぎまで無料で相談できます。

    デジタル終活を無料で相談してみる(デジ・タクセル)

    ※本サービスは当サイトの提携先が提供します。相談は無料です。

    まとめ:できることから少しずつでよい

    終活は、一度にすべてを終わらせなければならないものではありません。今回紹介した5つのステップも、一般的には無理のない範囲で、関心のあるところ・不安の大きいところから少しずつ着手していくのがよいとされています。

    1. 持ち物と財産の棚卸しをする
    2. エンディングノートを書き始める
    3. 老後資金の見通しを立てる
    4. 医療・介護の希望を家族と話す
    5. お墓・葬儀の方向性を考える

    まずは気になるステップのツールを一つ試してみることから始めてみてください。数字や項目が可視化されるだけでも、漠然とした不安が具体的な「次にやること」に変わっていくはずです。

    よくある質問(FAQ)

    終活は何から始めればいいですか?

    まずは持ち物と財産の棚卸しから始めるのがおすすめです。財産の全体像が見えると、相続や老後資金など次に考えるべきことが整理しやすくなります。そのうえでエンディングノートに希望を書き残していくと、無理なく進めやすいとされています。

    終活は何歳から始めるべきですか?

    始める年齢に決まりはありませんが、老後を具体的に意識し始める50代〜60代から取り組む方が多いとされています。体力や判断力に余裕があるうちに始めておくほど、じっくり考えながら進めやすいと言われています。

    終活にはどのくらい費用がかかりますか?

    費用は選ぶ内容によって大きく変わります。エンディングノートの作成自体はほとんど費用がかかりませんが、お墓・葬儀・永代供養などは形式によって数万円から数百万円と幅があります。当サイトの各シミュレーターで、項目ごとのおおまかな目安を確認できます。

    エンディングノートに法的な効力はありますか?

    エンディングノートに法的な効力はありません。財産の分け方など法的に効力を持たせたい希望がある場合は、別途、遺言書を作成する必要があります。エンディングノートは、あくまで本人の意思や希望を家族に伝えるための手がかりとして役立つものです。

    最終更新日:2026年7月9日

    本ツール・記事は一般的な目安を提供するものであり、個別の税務・法律・資産運用上の助言ではありません。実際の手続き・判断にあたっては、税理士・弁護士・ファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談ください。当サイトの情報の正確性には配慮していますが、制度改正等により内容が最新でない場合があります。