相続税の税額控除まとめ|配偶者控除・未成年者控除・障害者控除などを解説

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相続が起きると、多くの方が「相続税をいくら払うことになるのか」を心配されます。しかし相続税には、算出された税額そのものを直接差し引くことができる「税額控除」というしくみが複数用意されています。代表的なものが配偶者の税額軽減で、そのほかにも未成年者控除・障害者控除・相次相続控除などがあります。これらを正しく使えるかどうかで、最終的な税負担は大きく変わることがあります。この記事では、現行制度における相続税のおもな税額控除の種類と、それぞれの考え方の目安を、50〜70代のご本人やご家族に向けてやさしく整理します。むずかしい言葉はできるだけ避け、全体像をつかんでいただくことを目的としています。

相続税の税額控除とは

相続税の計算では、まず亡くなった方(被相続人)の財産を合計し、そこから基礎控除などを差し引いて、課税される金額(課税価格)を求めます。この「課税価格から差し引く控除」と、これから説明する「税額控除」は別のものとされています。税額控除は、課税価格をもとに計算した相続税額から、さらに直接差し引くものです。

言いかえると、基礎控除などは「税金がかかる金額」を小さくするものであり、税額控除は「計算し終えた税金そのもの」を小さくするものです。同じ「控除」という言葉でも役割が違うため、混同しないように整理しておくと安心です。たとえば計算の結果として相続税額が出たあと、その方が配偶者であったり、一定の要件を満たす障害者であったりすると、税額そのものから決められた金額を引くことができます。

おおまかな順番としては、財産の集計→基礎控除→税率をかけて税額を算出→税額控除、という流れになります。相続税全体の計算の流れは相続税の計算方法の記事でもくわしく解説しています。税額控除は種類が多く、本来は適用できるのに気づかずに申告してしまうと、必要以上に多く納めてしまうことにもなりかねません。どの控除が使えるか、適用漏れがないかをていねいに確認することが大切とされています。

なお、税額控除は自動的に差し引かれるわけではなく、原則として申告のなかで自分から適用することになります。使えるはずの控除を書き忘れると、そのまま反映されないこともあります。まずはどんな控除があるのかを知っておくことが、払いすぎを防ぐ第一歩になります。

主な税額控除の一覧

現行制度で使われることが多い税額控除を、ざっくりとした内容とおもな対象で整理すると、次のとおりです。細かな要件や金額は法改正などで変わることがあるため、実際に使えるかどうかは税理士や税務署に確認することをおすすめします。まずは全体像として、どのような控除があるのかを眺めてみてください。

控除の種類ざっくりした内容おもな対象
配偶者の税額軽減一定額まで配偶者の相続税が軽くなる被相続人の配偶者
未成年者控除年齢に応じて税額を差し引く18歳未満の相続人
障害者控除年齢と区分に応じて税額を差し引く障害のある相続人
相次相続控除前回の相続税の一部を差し引く10年以内に続けて相続した人
贈与税額控除すでに払った贈与税を差し引く生前贈与や精算課税を受けた人
外国税額控除外国で課された税相当を差し引く海外に財産がある場合

表のとおり、対象となる方や当てはまる場面はさまざまです。ご自身やご家族がどれに近いか、あたりをつけてから各項目を読み進めると理解しやすくなります。なお、ここに挙げたものがすべてではなく、状況によってはほかの調整が関係することもあります。それぞれの控除について、以下でもう少しくわしく見ていきましょう。

配偶者の税額軽減

配偶者の税額軽減は、税額控除のなかでも負担への影響が大きいものとされています。現行制度では、配偶者が実際に取得した財産のうち、1億6000万円か、配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額までは、配偶者に相続税がかからないしくみです。長年連れ添った配偶者の生活を守るという趣旨があるとされています。

つまり多くのご家庭では、配偶者が受け取る財産についてはこの軽減によって税負担が大きく抑えられることになります。ただし、この制度を使うには相続税の申告が必要とされており、遺産分割が決まっていることなどの条件もあります。また、目先の負担が軽くなる一方で、次にその配偶者が亡くなったとき(二次相続)の負担が増える場合もあります。一度目の相続で配偶者に多くの財産を寄せると、二度目の相続でまとめて課税されることもあるため、家族全体で先を見て考えることがすすめられています。くわしい要件や注意点は配偶者の税額軽減の記事で解説していますので、あわせてご確認ください。

未成年者控除

相続人が18歳未満の場合には、未成年者控除を使える場合があります。これは、その相続人が成人(18歳)になるまでの年数に応じて、一定額を税額から差し引くという考え方です。まだ働いて収入を得られない若い相続人の負担を軽くする趣旨とされています。

現行制度では、18歳になるまでの年数1年につき一定額(目安として10万円)を掛けた金額を控除するとされています。年数に1年未満の端数があるときは切り上げて計算するのが一般的です。たとえば相続のときに8歳の子どもであれば、18歳まではおよそ10年ありますので、10万円×10年で100万円程度が一つの目安となります。もし本人の税額から控除しきれない分があるときは、その未成年者を扶養する他の相続人(たとえば親など)の税額から差し引ける場合もあります。具体的な金額は状況によって変わるため、税理士・税務署に確認してください。

障害者控除

相続人が障害のある方の場合には、障害者控除を使える場合があります。これは、その相続人が85歳になるまでの年数に応じて、一定額を税額から差し引くという考え方で、これからの長い生活の支えとなる財産をできるだけ残す趣旨とされています。

控除額は障害の区分によって異なり、一般障害者と特別障害者で金額が変わるとされています。現行制度では、85歳になるまでの年数1年につき、一般障害者は一定額(目安として10万円)、特別障害者はそれより多い額(目安として20万円)を掛けた金額を控除するとされています。たとえば相続のときに65歳の特別障害者であれば、85歳まではおよそ20年ですので、20万円×20年で相応の金額が目安となります。未成年者控除と同じように、その障害者本人の税額から引ききれない場合には、扶養する他の相続人の税額から差し引ける場合もあります。区分の判定や金額は個別の事情で変わるため、くわしくは専門家に確認することがすすめられています。

相次相続控除

短い期間のうちに相続が続けて起きると、同じ財産に相続税が重ねてかかり、負担が重くなってしまうことがあります。これをやわらげるのが相次相続控除です。

現行制度では、今回の相続の前10年以内に、被相続人が相続によって財産を取得し相続税を納めていた場合、その前回の相続税額の一部を、今回の相続税から差し引くことができるとされています。控除できる額は、前回の相続からの経過年数が長いほど少なくなるしくみで、続けて相続が起きたときの二次相続の負担を緩和する役割があります。たとえば、お父さまが亡くなってから数年のうちにお母さまも亡くなったようなケースで使われることがあります。前回の相続から時間が経つほど控除額は小さくなり、10年を超えると使えなくなる点にも注意が必要です。適用には要件があるため、該当しそうな場合は税務署や税理士に確認してください。

贈与税額控除

生前に贈与を受けていた場合、その贈与財産が相続税の計算に加えられる(生前贈与加算)ことがあります。このとき、すでに贈与の際に贈与税を払っていると、同じ財産に相続税と贈与税が二重にかかってしまいます。これを防ぐのが贈与税額控除です。

現行制度では、相続税の計算に加算された贈与について、すでに納めた贈与税額を相続税から差し引くことができるとされています。毎年の贈与にかかる暦年課税で払った贈与税のほか、相続時精算課税制度を選んで払った贈与税も、相続税から差し引く対象になります。生前贈与の進め方は生前贈与のやり方、精算課税のしくみは相続時精算課税制度の記事で解説しています。二重課税を防ぐ大切なしくみですが、生前贈与を相続財産に加算する対象期間や扱いは近年の制度改正で見直されており変わることがあるため、最新の取り扱いは確認が必要です。

外国税額控除・その他

被相続人や相続人が海外に財産を持っていて、その財産について外国でも相続税に相当する税が課された場合には、外国税額控除を使える場合があります。これは、日本と外国とで同じ財産に二重に課税されることをやわらげるための控除とされています。近年は海外に預金や不動産をお持ちの方も増えており、こうした場面で関係してくることがあります。

このほかにも、状況に応じて関係してくる調整のしくみがあります。海外財産がある場合の取り扱いは、為替や現地の制度もからんで複雑になりやすく、判断に専門的な知識が必要になることが多いため、早めに税理士など専門家へ相談することがすすめられています。

控除を使うときの注意点

税額控除を使ううえで、いくつか知っておきたい点があります。

まず、多くの控除は相続税の申告をして初めて使えるものとされています。とくに配偶者の税額軽減は、控除の結果として納める税額が0円になる場合でも、申告そのものは必要とされている点に注意が必要です。相続税の申告と納付の期限は、原則として亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内とされていますので、控除を使う予定がある場合も早めの準備が安心です。

次に、控除には差し引く順番があります。一般的には、配偶者の税額軽減を適用する前に、贈与税額控除や未成年者控除・障害者控除などを先に差し引くといった順序が定められています。順番を誤ると最終的な金額が変わることもあります。

また、それぞれの控除には対象者や年数、区分などの要件があります。自分が当てはまるかどうかの判断は迷いやすいため、少しでも不安がある場合は税理士や税務署に確認することを目安にしてください。適用漏れは払いすぎに、要件の思い違いは申告のやり直しにつながることもあります。

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よくある質問

相続税の控除にはどんな種類がありますか?

代表的なものに、配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除、贈与税額控除、外国税額控除などがあります。課税価格から引く基礎控除とは別に、算出した税額から直接差し引くものとされています。

障害者控除はいくら引けますか?

現行制度では、85歳になるまでの年数1年につき、一般障害者は目安として10万円、特別障害者は目安として20万円を掛けた金額が目安とされています。区分や金額は事情によって変わるため、実際の金額は税理士・税務署に確認してください。

二次相続の負担をやわらげる控除はありますか?

短い期間に相続が続いた場合には、相次相続控除が使える場合があります。前回の相続から10年以内であれば、前回納めた相続税の一部を今回の税額から差し引けるとされており、続けて起きた相続の負担を緩和します。

控除で税額が0円になっても申告は必要ですか?

配偶者の税額軽減など、申告をして初めて使える控除では、結果として税額が0円になる場合でも申告が必要とされています。判断に迷う場合は、税務署や税理士に確認するのが安心です。

どの控除を使えるか自分で判断できますか?

おおまかな見当をつけることはできますが、要件の細かな判定は難しいことがあります。適用漏れや誤りを防ぐためにも、専門家に相談することが目安とされています。

最後に、税額控除は「知っていれば使えたのに」ということが起こりやすい分野でもあります。ご家庭ごとに事情は異なり、どの控除がどれだけ使えるかはケースによって変わります。相続にくわしい税理士に一度相談しておくと、使える控除の見落としを防ぎやすく、申告全体の見通しも立てやすくなるとされています。費用の目安や進め方も含めて、気になる段階で早めに問い合わせておくと安心です。

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まとめ

相続税には、算出した税額から直接差し引ける税額控除が複数あります。配偶者の税額軽減をはじめ、未成年者控除・障害者控除・相次相続控除・贈与税額控除・外国税額控除などがあり、当てはまるものを正しく使えるかどうかで税負担は大きく変わることがあります。多くの控除は申告が前提とされ、差し引く順番や要件も決められています。適用漏れを防ぐためにも、ご自身やご家族のケースで使える控除がないかを早めに確認し、細かな判断は税理士や税務署に相談することをおすすめします。

※本記事は現行制度をもとにした一般的な解説であり、個別の税額や適用可否を保証するものではありません。控除の金額や要件は法改正で変わることがあります。実際の申告や具体的な計算にあたっては、必ず税理士や所轄の税務署にご確認ください。